2023年1月、福島県相馬市で行われた成人式。東日本大震災と津波を経験した当時の子どもたちが、二十歳を祝わった。震災からまもなく12年、津波で家族を失った女性の”二十歳の思い”を取材した。
震災から精一杯前を向いて
新成人代表:今年は東日本大震災から12年。十三回忌という一つの節目を迎えます。私たち若者の一人一人が自分の行動に責任を持ち、新たな未来を作り上げていきたいと思います
この記事の画像(11枚)新成人となった、宍戸ひかりさん。
津波で家屋などが押し流され、多くの人が犠牲となった福島県相馬市原釜地区。地震が起きた時、宍戸さんは学校にいて無事だったが、父親の光一さんと、母親代わりだった伯母の臼井ヤスノさんを亡くした。
言葉では表せない葛藤の中、精一杯前を向いて成長した。高校卒業後、宮城県仙台市の大学に進学。震災の経験から、子どもたちを支える養護教諭を目指している。
宍戸ひかりさん:
「ひかりちゃんのお父さんとお母さんはどういう人なの?」って聞かれて、お父さんとお母さんがいないということを、ちゃんと言えなくて。周りに私みたいな震災孤児の子があんまりいないから、うまく伝えづらいっていうのはあったのかなって思います
充実した日々でも忘れない思い
進学当初は大学生活への不安もあったが、中学校から続ける音楽などを通してたくさんの友人と出会った。
宍戸ひかりさん:
本当に楽しくて、周りの先輩とか友達が本当に良い人達ばかりで。一緒に成長できる人たちがたくさんいて、心強いなって思っています
宍戸さんの友人:とにかく優しくて。私が相談とか良くするんですけど、すごい頼りになります
笑顔が溢れる充実した日々。それでも、忘れることのない思いがある。
宍戸ひかりさん:
お父さんたちに12年も会ってないんだな、みたいな。だんだん記憶が薄れていく、あんまり思い出せないのも増えてきて。でも、いまだにちょっとどこかで会えるんじゃないかなとか思ったりもしますね。ふと、1人でいるときとか
「これからも見守って」
成人式の後、父たちが眠る場所へ。
宍戸ひかりさん:
無事二十歳に、成人式迎えられたよっていうのと。あと”なかなか綺麗な姿じゃない?”っていうのを伝えたつもりです。周りの人たちに色々お世話になってきて、友達とかもそうなんですけど、震災関連で支援してくださった方もたくさんいるので。いろいろ恩返しみたいなことが、ちょっとずつ出来たらいいなって思ってます
あの日から、まもなく12年。
「これからも私を見守っていてください」
(福島テレビ)