宮城県、AI活用のマッチングが好調

3年連続で合計特殊出生率がワースト2位の宮城県のAI(人工知能)を活用した結婚支援が好調だ。昨年2021年に開設した「みやぎ結婚支援センター みやマリ!」では、AIを活用して相性の良い相手を紹介している。

登録者数は2188名(男性47.9%、女性52.1%)で、成婚数は46組に上っている。(※22年12 月1日時点)また、お見合い実施数は、月平均で490件。交際成立数は、月平均で217件(※22年10月末時点)だった。
 

登録できる人は、センター職員によると以下の4つの条件だという。

〈1〉結婚を誠実に希望し自ら婚活の努力をする意思のある20歳から49歳までの独身男女
〈2〉センターの結婚支援システムにアクセスできるスマートフォンをお持ちの方
〈3〉自らスマートフォンの操作を支障なくできる方でメールアドレスをお持ちの方
〈4〉宮城県内に在住、在勤または近い将来宮城県に移住をお考えの方

登録者は、EQアセスメントと呼ばれる価値観診断テストを任意で受検し、その結果を基に、AIが相性が良い相手を紹介するものだ。

価値観診断テストの設問例(画像提供:みやぎ結婚支援センター みやマリ!)
価値観診断テストの設問例(画像提供:みやぎ結婚支援センター みやマリ!)
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紹介後、お互いの同意があれば、お見合い、交際へと進んでいく。

AIマッチングシステム活動の流れ(画像提供:みやぎ結婚支援センター みやマリ!)
AIマッチングシステム活動の流れ(画像提供:みやぎ結婚支援センター みやマリ!)

そもそも宮城県の2021年(令和3年)の合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は1.15と、47都道府県で3年連続でワースト2位を記録している。また、婚姻件数は8595組と、前年より326組減少している。

そんな宮城県にとって、AIによる結婚支援が成果を上げていることをどう思っているのか?
また、AIのマッチングは、意外な組み合わせを紹介することはあるのか?
みやぎ結婚支援センター みやマリ!職員に詳しく話を聞いてみた。

AIは個人が持つ固定観念が邪魔をしない

――成婚数46組という数字、どう見ている?

大変喜ばしい結果だと感じております。また、成婚数のうち16組はAIでの紹介です。今後も会員様に寄り添う体制やアドバイスのスキルを向上し、さらにご成婚が増えることを期待したいです。


――AIはどのようにして相性の良い相手を紹介している?

人が行動する際の判断基準の中で、変わりにくい要素である「行動価値」を測り、お互いの「自分が重視する価値観」と「相手に求める価値観」の合致率によるご紹介です。
合致率が高いと成婚率も2%〜4%高まる結果がでています。


――職員から見て、なぜAIはこの人を紹介するんだろうと感じることはある?

ご質問の「なぜ」というイメージではなく、会員様の「自身だったら普段は選ばない」とのご意見と同様に職員も紹介しない可能性が高いです。AIでは個々人が持つ固定観念などが邪魔をしていないからなのではと感じております。

※イメージ
※イメージ

利用者「AI紹介で出会った相手は安心できた」

――AIだから学習してどんどん成功率があがっている、ということはある?

AIだからこそ成功率があがっているかどうかは、まだこれからの検証になりますが、AIだからこそ「可能性が広がっている」ことで、成功率アップに寄与していることは考えられます。婚活は条件マッチングが先行し、条件が少しでもずれると出会いにつながらず、機会損失につながることもございます。しかしAIは条件以外の部分も考慮して紹介を出しています。

そのためAIが介在することで会員様の出会いの可能性が広がり、結果として成功率があがっていくことは考えられるかと思います。


――成婚に到った人の共通点はある?

お相手のことで「初日から会話が弾み驚いた」、「兄弟や古い友人・懐かしい人に会った感覚」との声をいただきます。お互いに相手が求める価値観をもっていることから、お相手とコミュニケーションがスムーズに取れていると感じます。


――成婚に到ったカップルの声は?

AI紹介で成婚退会の会員様のコメントです。

・AI紹介で出会った相手は一緒にいるとなぜか安心できて、出会った時からありのままの自分でいられる気持ちになぜだかなっていた。(男性)
・第一印象がとても良く、お見合いの時から時間の経過を気にしないくらい一緒にいて疲れない相手に会えた。(女性)
・マッチングアプリでは、顔で選んでしまいがちだが、みやマリ!のAI紹介を信じて活動すれば、価値観の近い気が合う相手と出会える確率が高いと感じた。(女性)


――AIのマッチングは当たり前になってきている?

内閣府の少子化対策の一環として実施されている「地域少子化対策重点推進交付金事業」により、AIやビックデータを活用した結婚支援の取組により、2021年8月1日時点で22県がAIを活用したマッチングシステムを導入し、従来のシステムより高い効果をあげておりますので、今後も導入される自治体はあると思います。 

 

AIには、人間が持つ固定観念がないため意外な人を紹介し、それが出会いの可能性を広げているようだ。AI活用のマッチングシステムは、全国的に広がっているようなので、出会いを求めている人は利用してみるのも良いのかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。