ユニホームが違う選手たちが1枚の写真に収まっている。2022年高校ラグビーの福島県大会決勝の代わりに行われた壮行試合の後に撮影された。幻となってしまった決勝戦、頂点に立った勿来工業は、福島のラガーマンたちの思いを背負い夢の舞台、”花園”に挑む。

25年ぶりの”花園”出場

福島県いわき市の県立勿来工業高校ラグビー部。
部員21人、3年生15人を主体としたチームで、高校ラグビーの聖地「花園」の切符を25年ぶりにつかみ取った。

勿来工業高校ラグビー部
勿来工業高校ラグビー部
この記事の画像(11枚)

深緑とオレンジのラグビージャージ、勿来工業フィフティーンが、福島県内の高校ラグビー界を席巻したのは、昭和後期から平成初期にかけてのことだ。
最後に花園に出場したのが1997年。
このとき頂点を争ったのが、同じいわき地区の県立磐城高校。
4半世紀の時を超え、2022年決勝の舞台で相まみえるはずだった。

1990年福島県大会決勝
1990年福島県大会決勝

幻となった県大会決勝戦

勿来工業・鈴木悠斗主将:いわき地区で土日とかも鮫川(グラウンド)で練習していたので、Jヴィレッジで決勝戦というのをやりたかったです。

勿来工業・鈴木悠斗主将
勿来工業・鈴木悠斗主将

決勝の前日、磐城高校は関係者の新型コロナ感染が確認されたため棄権。
予期せぬ形で勿来工業の花園出場が決まった。

磐城高校がコロナで決勝を辞退
磐城高校がコロナで決勝を辞退

磐城高校ラグビー部前主将・木田竜晟さん:勿来工業とは新人戦とか地区大会でも負けていて、ノートライで負けているので、そのリベンジっていう意味も込めて、やっぱり試合したかったなっていう思いがありました。

磐城高校ラグビー部で主将を務めた木田竜晟さん。
決勝を戦えなかった悔しい気持ちを胸に秘め、共に高め合ってきたライバルの花園での活躍を願っている。

磐城・木田竜晟さん:去年僕たちも花園出て、やっぱり一筋縄では全国はいかないと思うので、そこで自分たちの強みを出して、全国で頑張ってほしいと思います。

磐城・木田竜晟さん
磐城・木田竜晟さん

ライバルの思いを背負って

「磐城高校の分まで」これを合言葉に大会前の練習に熱が入る。

勿来工業・鈴木悠斗主将:フォワードが大きいので、誰がボール持ってもゲインできるというのが強みで、バックス陣も12、13番(両センター)が縦の突破が売りなので、そこが今の強みです。

ライバルの分まで・勿来工業の練習
ライバルの分まで・勿来工業の練習

フォワードの最前線、プロップの平林彩翔選手。
中学時代は陸上部で砲丸投げの選手だったが、高校からラグビーを始めた。
砲丸投げで培われた上半身の力強さに加え、体重は15キロ増えパワーアップした。

勿来工業・平林彩翔選手:相手にタックルされても、しっかり突破できる力が自分にはあると思ってるので、そこの強みを生かして縦に入って前を向いて、あとの後ろの人に繋げられたらなと思ってます。

勿来工業・平林彩翔選手
勿来工業・平林彩翔選手

2020年まで磐城高校ラグビー部を率いた小松傑監督が、選手たちに勝利と成長への向き合い方を叩き込んだ。

勿来工業・小松傑監督:「自分たちは強くなりたい」という気持ちを持ちながら、何があってもラグビーに取り組んでこられたというのが大事だったかな。

勿来工業・小松傑監督
勿来工業・小松傑監督

見る人を元気づけるプレーを

個々の能力の高さに加え、フォワードとバックスが一体となってトライを奪うプレースタイルが武器だ。

勿来工業・鈴木悠斗主将:3年間の集大成として1回1回の練習を大切にして、自分たちのプレーで、見てる人たちが元気づけられるようなたくさんしていきたいです。

勿来工業・鈴木悠斗主将
勿来工業・鈴木悠斗主将

磐城高校、そして福島の全ての高校生ラガーマンの思いを背負って…25年ぶりの花園で渾身のトライを叩き込む。

福島の高校生ラガーマンの思いを背負って
福島の高校生ラガーマンの思いを背負って

勿来工業は全国高校ラグビー大会2日目、12月28日の1回戦で東京第2代表の目黒学院と対戦する。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。