新型コロナウイルスの影響は、経済にも及んでいる。岩手・宮古市でダウンジャケットなどを製造している工場も、注文が減りピンチに。そのピンチをチャンスに変えようと、オリジナルブランドを立ち上げた。

オリジナルブランドへの挑戦

2021年2月、1着のダウンジャケットが誕生した。その名は「The Authentic Down Jacket(オーセンティックダウンジャケット)」。

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作ったのは、宮古市で洋服などを製造する縫製工場「クラスター」だ。創業当初、「クラスター」はアパレルメーカーの婦人服やジャケットなどの受注生産を行い、2010年ごろからダウンジャケットの製造を始めた。

クラスター 小林晃社長:
(ダウンジャケットの製造を始めたきっかけは)自分たちが得意とする分野の仕事量が極端に目減りし、何かアクションを起こさなきゃいけないなと思い、ダウンジャケットを手がけるようになりました

クラスター 小林晃社長
クラスター 小林晃社長

国内外メーカーの下請けとして様々なダウンジャケットを手がけるようになり、業績も順調。そんな時に起こったのが、新型コロナウイルスの世界的な大流行だった。

クラスター 小林晃社長:
新型コロナウイルス感染症が出るまでは、待っていても仕事が来ていましたが、感染症が広がってからは直前のキャンセルなどがあり、(製造量が)激減しました

経営危機の中、小林社長が考えたのは、オリジナルブランドへの挑戦だった。
岩手県の支援事業を活用し、「Hayachine Made(ハヤチネメイド)」を立ち上げる。そこから誕生したのが、初めてのオリジナル商品「The Authentic Down Jacket」だった。

森尾絵美里アナウンサー:
このダウン、すごくラインがきれいで、いつも見ているダウンとは生地も違いますね

クラスター 小林晃社長:
これは、「刺し子生地」という素材を一関市の京屋染物店で本染めしていただいて、素材を作ってもらいました。ビジネスにもカジュアルにも両方使っていただきたい。突然の雨とか天候の変化でも、水をはじく撥水(はっすい)加工が施してあります

森尾絵美里アナウンサー:
中もちょっと違うんですよね

クラスター 小林晃社長:
カバンを持たないで携帯とかお財布とか、たくさん収納できるようなスペースを作ってみました

収納ポケットは、盛岡市の裂き織の工房「幸呼来Japan(さっこらジャパン)」の生地を使用している。

高い技術力と岩手への思いがつまったダウンジャケットだが、小林社長の挑戦はこれだけではない。「クラスター」の技術と全国各地の伝統生地を使ったダウンジャケットを作り出した。

クラスター 小林晃社長:
素材提供をしていただけるのであれば、ダウンジャケットを作って、自分たちもHayachine Madeも成長していけたらいいなと思いながら、(取引)相手に商材の幅を紹介していきたい

製作依頼は奄美大島からも

そんな「クラスター」の元には、全国各地から製作依頼が寄せられる。この日は奄美大島の伝統生地である「大島紬」の製造元が、ダウン制作のため工場を訪れていた。

大島紬 織元 元允謙さん:
大島紬の着物って薄くて軽いが、着ると寒い素材。暖かくするにはどうしたらいいかとか思い、素材を変えたりとかしていたが、ダウンを入れると大島紬の生地で暖かいものができるかもしれないと思って。軽くて暖かい冬の羽織ものができたらいいと思っている。楽しみです

品質の確かさとユニークさ、さらに全国各地の地域産業を結びつけるツールとしての取り組みが評価され、2022年度、世界4大デザイン賞の一つとされるグッドデザイン賞を受賞した。

従業員:
やっぱり誇らしいなと思いました

従業員:
自分たちが関わった仕事なので、うれしく思いました

さらに2022年の最新作「The Authentic Down Jacket 4way」は、燃えにくい素材を使用し、フードと袖を取り外したりリバーシブルで着たり、さまざまなシーンで活躍してくれるダウンジャケットだ。

クラスター 小林晃社長:
ジャケットを通して、少しずつ世界の方に広げていけたらいいなと。物作りに対しての気持ちを服作りの方にも表現できたらいいと思っています

(岩手めんこいテレビ)