沖縄の名物「海ぶどう」はプチプチ食感が印象的。この海ぶどうの成長速度がすごいと話題になっている。
Twitterユーザーの「Sho Nakaema」(@nk_ema)さんは、職場のデスクで海ぶどうを育成中。11月9日の午前9時と午後6時に撮影した写真を並べて投稿した。それがこちらだ。

海ぶどうはつた状の部分が伸び、そこにブドウのような粒をつけるが、午前9時の様子はできて間もないといった感じで、粒も2~4つほどしかない。
しかし、午後6時になると、つた状の部分は倍近くの長さになり、粒も6~8つほどに増えている!わずか9時間でこれだけ成長したのだ。

その後もすくすくと成長し、Twitterでは「育成ゲー並みの成長速度」「こんなに早いとは知らなかった」と驚きの声が上がった。投稿は2万2000以上のいいねを集めた(12月6日時点)。
先端が水面に到達するほどに成長
どうしてここまで成長が早いのだろうか。まずは、Sho Nakaemaさんに生育環境を聞いた。
――海ぶどうの生育環境を教えて。
10月26日から飼育を開始しました。市販の育成キットを用いて、瓶の中で海ぶどうを砂に植えただけ。ときどき、日光に当ててます。最初は3本植えましたが、うち2本はすぐに枯れてしまいました。残りの1本がすくすくと育っています。

――11月9日の9時間ではどのくらい成長した?今はもっと育っている?
正確に測っていないのでわかりませんが、(9時間では)1.5cm→2.5cmといったところでしょうか。(12月6日の大きさは)7~8cmほどです。先端が水面に到達するほどになりました。他の場所からも新しい枝が生えてきてそちらも観察中です。
――急成長を見て思ったことは?
退勤前にちらっと目をやると明らかに朝より成長していたので驚きました。わかりやすい成長具合で、観察するのが楽しくなりました。しばらくは観賞用で飼育する予定ですが、瓶いっぱいに育ったら食べることも考えようかと思っています!
海ぶどうは体全体で栄養を取り込める
生育環境は変わったところがないようだ。生態に秘密があるのだろうか。海ぶどうの研究者・有本飛鳥さん(広島大学大学院統合生命科学研究科附属臨海実験所)にも聞いた。
――海ぶどうはどんな生き物?特徴を教えて。
海藻の一種で、標準和名は「クビレズタ」。海ぶどうは流通上の名前です。仲間にはお好み焼きにかける「青のり」などがあげられます。海藻の仲間は多細胞が多いですが、海ぶどうの特徴は単細胞であること、そして再生能力が非常に高いこと。市販の海ぶどうは養殖品が多いのですが、再生能力を利用して親株から分けて育てることもしています。

――急成長が話題だが成長はもともと早いの?
海藻全般に言えますが、体全体で栄養を取り込めるので成長はかなり早いです。海ぶどうは2週間程度あれば、市販されているような、5~10cmほどに成長します。つた状の部分は2m近くになることもあります。私も話題の投稿をみましたが、典型的な成長のパターンだと思いました。
――沖縄のイメージがあるが、生息に適した環境は?
冷たい場所では体の弾力を失い死んでしまうので、温かい海に適した性質を持っています。適した温度の水があれば育てることはできますが、寒い地域だと冬に耐えられない。そのため、温暖な沖縄で養殖されることが多いです。もちろん、沖縄には自生しているものもあります。
プチプチの粒には役割があった
――特徴的な粒の仕組みはどうなっている?
仕組みはよく分かっておらず、私はそれも知りたくて研究しています。役割は少しわかってきていて、粒の中身のドロッとした液体には緑葉体やDNAが含まれています。光合成を盛んにするような遺伝子を持っているほか、植物の“種”にあたる小さな細胞も、粒から放出されることが分かっています。

――海ぶどうは食用以外にも活用できたりする?
海水に投入することで、魚が排出した栄養素(糞など)を吸収するといった使い方もできると思います。草木に有機肥料をあげるようにして、海洋汚染を防ぐことができるかもしれません。
――海ぶどうが話題となったことをどう思う?
うれしく思います。想像をしない性質を持った生物は身近にいるので、観察すると日常生活でも思いがけない発見があるかもしれませんね。海ぶどうは私も育てていますが、市販品のような状態に育てるのは難しいので、生産者の努力も感じました。
海ぶどうの1日の成長。
— Sho Nakaema (@nk_ema) November 9, 2022
上が9:00撮影、下は18:00撮影 pic.twitter.com/MAJPh6znLD
海ぶどうは成長が早く、高い再生能力も持っているようだ。有本さんの研究は途中だというので、まだまだ知らない性質や特徴があるかもしれない。