名古屋市熱田区に、入居世帯の7割が高齢者のみという市営住宅がある。コミュニティー活動の先細りが懸念される中、大学生が住人たちを結び付け、活性化に一役買う取り組みが始まった。
大学生が疎遠になりがちな住人同士を結び付け活性化
名古屋市熱田区の市営住宅「神戸荘（ごうどそう）」。その1階のとある部屋に、お年寄りや若者たちの姿があった。
ここは、長らく空いていた店舗付きの部屋を改装してオープンした交流スペース。訪れる住人がお菓子や得意なことを持ち寄って一緒に楽しく過ごせる場になるようにという願いを込めて「mochiyori」と名付けられた。
学生：
文字打ってるときにポッポッポッて音がする、これを切りたい？これで音なくなります
高齢者：
鳴りません。ありがとう。よかったありがとう
運営を担うのは、神戸荘に近い名古屋学院大学のボランティアサークルの学生たち。
リーダーは4年生の神田実紅さん。大学を通じて市が神戸荘の交流を活性化させる取り組みを求めていると知り、手を挙げた。
mochiyori代表 名古屋学院大学の神田実紅さん：
ニーズがあるのにそれが補充されてないっていうところを、学生の若い力で補えるのかなっていうので、そこのつなぎ役を私たちが買って出たっていう感じですかね
縁側をイメージした、どことなく懐かしい雰囲気が漂う部屋の内装も、夏休み中に神田さんたちがペンキ塗りを手伝った。
「mochiyori」の家賃は無料で、改装費も市の負担。それでも市が学生たちに協力を求める背景には、住人たちの高齢化という課題がある。
Q.よく集まって話をされる？
住人の女性A：
全然ない。挨拶するぐらいだもんね。年取ってくるとだんだん1人ぼっちでしょ。話す相手がいないから
住人の女性B：
こういう場が無かったら話すことも多分ないよね
神戸荘には2つの棟に合わせて118世帯が暮らしているが、実に7割が高齢者のみの世帯で、住人同士の交わりは疎遠になりがち…。
自治会の役員のなり手が少なくなり、清掃や共用廊下の電気の交換といった活動をいつまで続けられるのか、先行きが懸念されてる。
実は名古屋市営住宅全体の入居世帯の高齢化率も、この10年で4割から5割に上がっていて、神戸荘の「今」は市営住宅全体の「未来」とも言える状況だ。
住人の女性C：
いいんじゃないでしょうかね、若い方が来てくださるっていうだけでも。ここは本当に高齢化が進んでますし、子供さんも少なくなってますので関わり合いができると後からでもお話ができると思いますので
神田美紅さん：
これからは「良き隣人になりたい」というか、ここのご近所さんとしてもっとなじむように努力をしていきたいなと思っています
（東海テレビ）
