8年前、新発田市で当時20歳の女性を殺害した罪などに問われている男の判決公判が11月18日に開かれる。初公判から約1カ月、死刑を求刑している検察側と無罪を主張する弁護側の全面対決となっている今回の裁判を振り返る。

8年前の女性殺害 被告は否認

喜納尚吾 被告:
全く身に覚えがありません

初公判で起訴内容を否認した喜納尚吾被告(39)。

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喜納被告は2014年、通勤中の当時20歳の女性が運転する車に乗り込んで連れ去り、わいせつな行為をしたうえで殺害した罪に問われている。

事件から8年が経ち、始まった今回の裁判。そもそも女性の死は事件だったのか。事件だった場合、犯人は喜納被告なのかどうかの犯人性が争われ、検察側と弁護側の全面対決となった。

判決を下すうえでのポイントについて、刑事裁判に詳しい堀田伸吾弁護士は…

刑事裁判に詳しい 堀田伸吾 弁護士:
被告人が犯人であることを、疑いを挟む余地がないレベルまで証明に成功したかどうか。検察の立証の成功度というところがポイントになってくる

ポイント〈1〉 被害者の死因

解剖医:
何者かに水面に押しつけられ、溺死もしくは圧迫死した可能性が高い

検察側は司法解剖の結果から3分~5分間、女性の顔を水没させ、溺死または窒息死させたなどとして「確定的殺意を持って殺害した」と指摘。

一方、弁護側は現場の状況などから、「事故の可能性が高い」と反論している。

刑事裁判に詳しい 堀田伸吾 弁護士:
遺体の状況から加害行為があったのか、その加害行為があったとして、それが殺意に基づくような内容のものであったのか、この推測も非常に難しい部分が出てきている

遺体は一部白骨化していて、目立った外傷などが見られないなか、事件性を判断するうえでの重要なポイントと言える。

そして、喜納被告が犯人かどうかに関わる重要な証拠が被害者の車のハンドルから見つかった被害者と喜納被告の混合DNAだ。

ポイント〈2〉 被害者と喜納被告の混合DNA

検察側は「事件当日に喜納被告が女性の車のハンドルに触れた証拠」だと主張。事件直前まで2人が一緒にいたことを示すものだと訴える。

一方、弁護側は混合DNAからは個人の特定ができないと指摘。

刑事裁判に詳しい 堀田伸吾 弁護士:
仮にそれが被告人のDNAであったとした場合、そのハンドルについていたことと本件の犯行をただちに結びつけるものではなくて、他の事情も総合的に考慮して犯行に結びついていくという、一つの事情に過ぎないのかなと思われる。そういった意味で、客観的証拠に非常に乏しい事件なんだなと思う

直接証拠がない中、検察側が積み上げたのは多くの状況証拠。

ポイント〈3〉 目撃者の証言

検察側は今回の裁判で、喜納被告とみられる男を事件現場付近で目撃した人を複数、証人として出廷させた。

事件現場付近での目撃者:
左手に雪の山があって、そこから人が下りてきた。雪の壁をまたいでくるのが見えて「ん?」と思った

現場から男を乗せたタクシー運転手:
グレー系のつなぎとスニーカー着用。短髪・黒髪。25歳~30歳に見えた

様々な目撃証言などから「犯人は喜納被告である」と主張するが、弁護側は「証人によって証言の食い違いなどがある」として、その信憑性を否定する。

刑事裁判に詳しい 堀田伸吾 弁護士:
間接証拠・状況証拠による総合的な判断ということになってきたときに、検察官の立証について、合理的な疑いが残っていないのか、そういったところ厳しくチェックする観点から判断を下していただきたい

「死刑」求刑する検察側 弁護側は「無罪」を主張

事件から8年が経ち、遺族から語られるのは沈痛な思い。

被害者の母:
無念を晴らすために、真実を知らなければならない

証言台で、こう声を振り絞った被害者の母。

被害者の母:
死刑を求めます

遺族が求めるのは「極刑」。そして…

検察官:
死刑に処するのが相当

検察側は「生命軽視が甚だしく、更生の余地はない」として死刑を求刑した。一方で、一貫して無罪を主張する弁護側。

喜納尚吾 被告:
私は全く関係していないし、分かることはありません

最終陳述でも事件への関与を否定した喜納被告。注目の判決は11月18日午後3時に言い渡される。

(NST新潟総合テレビ)

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