15日ポーランドにミサイルが着弾し、2人が死亡した。ミサイルはどこから撃ち込まれたのか、どういったものだったのかについて、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏の解説だ。

■ロシアから? ウクライナから?

 11月15日、ウクライナとの国境付近にあるポーランドのプシェボドゥフに、ロシア製のミサイルが着弾し、2人が死亡した。

 同日は、ウクライナの首都キーウなど各地が、ロシアによる大規模なミサイル攻撃を受けていた。

この記事の画像(8枚)

 ポーランドへのミサイル着弾について、ロシア側もウクライナ側も関与を否定しているが、3つの可能性があるとみられている。

【1】ロシア軍による故意の攻撃
【2】ロシア軍の誤射
【3】ロシア軍ミサイルの迎撃に失敗したウクライナ軍の流れ弾

 現時点で最有力視されているのは【3】です。アメリカのバイデン大統領が「ミサイルの軌道からするとロシアから発射されたとは考えにくい」と発言したことによるものだ。

(Q.バイデン大統領の発言はどうみられますか?)
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏:
バイデン大統領がわざわざこう言ったということは、断言はできませんが、ロシアから発射されたものではない可能性が高いように思います。ポーランドの国境や上空から、レーダーや偵察機がいつも監視をしています。かなり細かい軌道が分かっているはずなので、それを元にこういった発言になったんだと思います

(Q.ロシア領土からのミサイルであれば、衛星等で分かるということですか?)
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏:
そうですね。ロシアとポーランドの間にはベラルーシがあります。ベラルーシの南西部の端辺りから撃てばロシアのいろんな種類のミサイルも届きますし、バイデン大統領は「ロシアから」と言っていますので、ベラルーシは除外していません。ただ、ベラルーシから撃ったとしてもその軌道はキャッチしているはずなので、バイデン大統領がわざわざこういった発言をすることはないのかなと思いますね

■「ロシア製」のミサイル

 着弾したミサイルは、ロシア製防空システム「S-300」に使われるものだとみられている。防空システムとは、空に向けて、相手の飛行機やミサイルを撃ち落とすというものだ。

(Q.サイルの種類は、どのように判断されるんですか?)
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏:

着弾した現場の写真が、複数出てきました。写真に、この防空システムで使っているミサイルの残骸に非常に似ているものが映っていたんです

(Q.ウクライナ軍が保有しているロシア製のシステムが、ロシア軍のミサイル攻撃を撃ち落とそうとして誤作動した可能性がある、ということですが、なぜウクライナ軍がロシア製のシステムを持っているのでしょうか?)
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏:

ウクライナというのは旧ソ連の流れですから、旧ソ連製の兵器を持っています。このシステムは旧ソ連時代からありましたので。開戦後、数は少ないですが周辺国から供与された分もあります

(Q.ウクライナが使っていてもおかしくはないんですね。そもそも防空システムなので、ウクライナが自国を守るために使っていたとみる方が自然ということですか?)
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏:
そうですね、バイデン大統領の発言もそうですが、ロシア軍はこれまで、ウクライナの国境付近にもミサイルを撃ってきました。それへの迎撃を試みたところ、誤作動であらぬ方向に飛んでいってしまった可能性というのが、一番高いのかなと思います

(Q.同盟国のベラルーシ国内からロシアが撃った可能性もゼロではないということですが、ロシアはミサイルをかなり消費し、防空システムに使うミサイルを攻撃用にも転用している可能性があるんですか?)
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏:
そういった使い方も実際にされています。ベラルーシの国境から今回の着弾地点までは200キロほど。S-300は防空システムなので、ミサイルや航空機に対する射程距離で、大体150キロなんです。ただ、地上に向けて放物線を描くように飛ばせば、ギリギリ200キロくらいにはなります

 ポーランドにミサイルが着弾した日は、ウクライナ全土に90発ほどのミサイルが撃ち込まれていた。ロシアによる攻撃を非難した上で、冷静な分析と対応が求められる。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月16日放送)