「最強」の外交特権

青色の外交官ナンバーの車はウィーン条約に基づく「外交特権」を持っている。その名の通り、外交官に認められた特別な権利で、民事・刑事ともに裁かれないという、まさに最強の特権。例えば、駐車違反の放置違反金を時効(5年間)まで支払わず無視しても、特権で裁判や差し押さえを免除されるのだ。
「ロシア」が国内の約半数占める
今回、FNNが情報公開請求で入手した最新の警察庁のリストによると、今年3月末までの1年間に、ロシアが国内で放置違反金を踏み倒した件数は「1826件」と過去最悪となった。全体の85カ国のうち47%で、約半数を占めた。
ロシア大使を初直撃!

これまで、ロシア大使館はFNNの質問状に回答することはなかったが、11日に開かれた記者会見で大使を初直撃した。
Qロシアは圧倒的なワーストだ。ロシアの外交官は、法律を守る意識が低いのか?
ガルージン・ロシア大使:この状況は数年前にあったかもしれないが、日本側の要請を受けて、大幅に改善した。我々は日本のルールに違反する者に対しては、とても厳しくしている。必要ならば、外交関係に関する条約に従って、我々が駐在する国のルールと法律を尊重するための措置を講じる。
FNNの一連の報道を受け、この数年の各国の駐車違反の数は減ってきている。しかし、外交特権での「踏み倒し」は、ワースト上位の常連だったハンガリーが「ゼロ」と改善を見せる一方、ロシアは踏み倒しを続けている。
初公開!過去4年間のワースト推移

国別リストから何が分かるのか。圧倒的ワーストのロシアの割合は年々増加している。ワースト2位は4年連続で「中国」で、3位以下を大きく引き離した。地域別では、いわゆる「旧ソ連諸国」と「中東」が多い。なおその中には、あのウクライナも含まれている。G7では、フランスやドイツが目立つ一方、大使館の規模を考えるとアメリカは少ない印象だ。イギリスはいずれの年も「ゼロ」で、まさに”紳士の国“だった。
ロシア・中国の順法意識とは

ウクライナへの侵攻で、ロシアの”無法ぶり“が世界で明らかとなっているが、この国内のデータからも「法律を守る意識の低さ」が浮き彫りになった形だ。国際社会は、ロシアによる侵攻を止めることができなかった。このワーストランクは何を示し、これを将来にどう活かすべきなのか。ロシアだけでなく、3位以下を大きく引き離した2位・中国の動向にも、注視して行きたい。
(フジテレビ社会部・知野雄介)