福岡県警が摘発した“闇金”グループ。違法に得た収益は10億円にのぼるとみられているが、これほどの巨額の金をどうやって集めたのか? 取材で見えてきたのは「手軽さ」を売りにする新たな「闇金の手口」だった。

10億円もの違法利益を得ていたか

フードで顔を隠す男。福岡県警が出資法違反の疑いで逮捕した、福岡市東区箱崎の石橋聖二容疑者(58)だ。

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石橋容疑者が生業にしていたとされるのが、いわゆる「闇金業」。

警察によると、石橋容疑者は2021年、福岡県内に住む30代の男性ら3人に、あわせて約69万円を貸し付け、法定金利の40倍から140倍にあたる利息を繰り返し受け取った疑いが持たれている。

石橋容疑者のほかに逮捕されたのは男3人。この闇金グループの口座には、9年間で約22億円が入金されていて、うち利息分として10億円にものぼる違法な利益を得ていたとみられている。

石橋容疑者のグループから金を借りた債務者は全国で4,000人にものぼる。一体、これだけの人数とどうやってつながったのか?

そのキーワードとなるのが「#個人融資」。石橋容疑者の活動の場は「SNS」だった。

「#個人融資」で検索し接触か

ツイッター上を覗いてみると―。

鑓水航記者:
「#個人融資」と検索すると、8万円貸してほしい、7万円融資してほしいなどのツイートがかなりありますね

そこには「個人融資」の名の下で、現金を求める人たちがあふれていた。

【ツイート】
「150万円必要です…助けて下さい」
「どなたか7万円ほど融資して下さい。7日に利息分と一緒に返します」

これらのツイートに寄せられた返事を見てみると―。

「お話聞きましょうか?良ければご連絡、お待ちしています」

「個人融資」を求める人のツイートには「お話聞きましょうか?」の返事が
「個人融資」を求める人のツイートには「お話聞きましょうか?」の返事が

石橋容疑者らは、これと同じ手口で借金を希望する人物に接触し、金の貸し付けを行っていたとされている。

「個人情報はいただきます」

鑓水航記者:
では、実際に個人融資について問い合わせる投稿をしてみます

記者が実際に問い合わせてみると…
記者が実際に問い合わせてみると…

反応があるのか?待つこと約20分。

鑓水航記者:
返信が来きました!

1通のダイレクトメッセージが記者宛に届いた。

「融資希望でしょうか?」

記者宛にメッセージが
記者宛にメッセージが

さっそく、問いかけに続けて返信してみる。

記者:
融資の方法についてお尋ねしたいです

相手:
金額によりますが、ある程度個人情報はいただきます

「個人情報はいただきます」とのメッセージが
「個人情報はいただきます」とのメッセージが

記者:
個人情報はどのような内容ですか?

相手:
氏名 住所 携帯番号 この辺りですね

必要な個人情報を提示される
必要な個人情報を提示される

個人情報が必須であると説明された。さらに、連絡があった別のアカウントからは―。

「詐欺、犯罪など一切ございません」

安心させる手口か
安心させる手口か

信用性を高めるワードが送られてきた。

「ほぼ100%が闇金業者」

しかし、このようなSNS上での個人融資をめぐるやりとりについて、専門家は警鐘を鳴らす。

米盛太紀弁護士:
SNSなどを利用した借入の際には、基本的に出資法の登録をしていないと考えて間違いないと思うので、ほぼ100%が闇金業者と考えて間違いない

コロナ禍によって収入が減った人、特に若者を中心に手を出すケースが増えているという。

米盛太紀弁護士:
コロナ禍で仕事を失って収入が安定していないという状況で、収入を補うためにという方が多かったりとか、クレジットカードの支払い期限を守るために闇金から借りるという方もいる

福岡県警によると、闇金トラブルに関する相談は年々減少しているものの、年代別では、2021年は20代が最も多く、全体の2割を占めたというデータも出ている。

米盛太紀弁護士:
一番はお金を借りない。もし借りてしまったら、専門家に相談することが大事ですね

軽い気持ちで投稿した安易なつぶやきが、人生を狂わせる結果につながるかもしれない。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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