山口県が公用車として購入したトヨタの最高級車「センチュリー」。「2,000万円を超える高級車の購入は違法ではないか」とした住民訴訟で、裁判所は、山口県の知事に購入費用2,090万円全額の賠償責任を認めた。

公用車にセンチュリー 山口県知事に賠償責任

黒光りした車体から漂う高級感。フロント部分にあしらわれた鳳凰のエンブレムが至高の存在であることを感じさせる。トヨタの最高級車「センチュリー」。山口県が2020年、2,090万円で購入した公用車だ。

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山口県内に住む松林俊治さん(75)。元県職員の松林さんは2021年2月、山口県を相手に住民訴訟を起こした。

住民訴訟を起こした松林俊治さん:
税金を県民から見て、きちんと説明できないような使い方をすることはおかしい。知事の姿勢を改めてもらいたいと、訴訟に踏み切った

訴訟の相手は、山口県の村岡嗣政知事。県が公用車として2,090万円のトヨタ・センチュリーを購入したことは違法だと訴え、村岡知事に全額返金するよう求めた。

一方、県はセンチュリーの購入は合理的な判断だったとして請求の棄却を求めていた。

11月2日の山口地方裁判所。注目の裁判で司法の判断が下された。

山口格之裁判長:
歳出削減の観点からセンチュリーを購入する必要性の検討が不十分で違法な支出

松林さんの訴えを認める判決。さらに裁判所は、村岡知事の指揮監督上の義務違反を指摘し、知事自身に購入費2,090万円全額の賠償責任を認めた。

全面勝訴に原告側は…。

住民訴訟を起こした松林俊治さん:
本当に最高の判決が出ました。税金は人が豊かになるように、そのような県政、そういうふうな知事になってもらいたい

売却に消極姿勢の理由は…約120キロの送迎

一方、自治体のトップに賠償を求める珍しい判決判決を聞いた村岡知事は…。

山口・村岡嗣政県知事:
今回の判決には、正直、驚いています。私自身は、センチュリーの購入は、令和2年4月1日に契約がなされたが、その年の8月2日に納入される2週間前の7月16日に購入の報告を受けました

問題となったセンチュリー。広々とした車内には大型のディスプレイが設置されているほか、シートにはマッサージ機能も備えられている。2,090万円という価格通りトヨタが誇る最高級車。皇室などの貴賓車として購入したというが、これまでのところ貴賓車として利用されたのはわずか6日間だけ。

しかし、判決後の囲み取材でセンチュリーを売却する可能性について尋ねられた村岡知事は…。

山口・村岡嗣政県知事:
実際の運用でかなり使われているので、運用を継続していきたい

実は貴賓以外にセンチュリーを使っている人物がいるのだ。それが、県知事選の際、村岡知事の横で万歳をしている人物、山口県議会の柳居俊学議長(72)だ。

自民党に所属する当選8回のベテランで合わせて議長を10年近く務めている。問題のセンチュリーは柳居議長の公用車として自宅から議会までの送迎などに使用されていた。柳居議長が暮らすのは、議会がある山口県庁から約120キロも離れた周防大島。

濱田洋平記者:
山口県庁を出発して1時間半近くが経ちましたが、ようやく周防大島に渡る橋に差し掛かりました

山口県庁から柳居議長の自宅までは約2時間。寺の住職でもある柳居議長の自宅を訪ねたが、本人の姿はなかった。

地方自治法では、自治体は「最小の経費で最大の効果を上げる」よう定められている。

2,000万円を超えるセンチュリーの購入は最小の経費なのか? 山口県の村岡知事は控訴について弁護士と相談して早急に判断したいとしている。

(テレビ西日本)

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