2022年で戦後77年。戦争の記憶の継承が課題となる中、大分県大分市にある特攻隊の資料館も2021年、元特攻隊員の館長が亡くなり休館している。しかし、残された資料から平和の尊さなどを改めて見つめようという人たちが訪れている。

いかに若者を戦場に駆り出したか・・

大分県大分市でこの秋開かれた戦争と平和をテーマにした展示会。
会場には特攻隊員の写真や遺書などが展示された。

戦争と平和をテーマにした展示会
戦争と平和をテーマにした展示会
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展示会を企画 長野義人さん:
あの時、いかに若者たちを戦場に駆り出したか。これを是非皆さんの目にふれてほしいなと思って資料をお借りしてきた

「二度と戦争を起こさないように」

展示品を貸し出したのは、大分市上野丘にある予科練資料館。

展示品を貸し出した“予科練資料館”
展示品を貸し出した“予科練資料館”

予科練とは「海軍飛行予科練習生」のこと。
少年たちを戦闘機の搭乗員として養成する制度で、予科練を経て特攻隊員となった人も多くいた。

この資料館が開設されたのはおよそ30年前。
元特攻隊員の川野喜一さんが自宅の地下を改装して作った。

元特攻隊員が自宅の地下に作った予科練資料館
元特攻隊員が自宅の地下に作った予科練資料館

川野喜一さん(1990年):
こういう資料館をつくって多くの方に見てもらって、二度と悲惨な戦争を起こさないような平和な国をつくっていきたい

長年、来館者に平和の大切さを訴えてきた川野さんだが、2021年8月、95歳で亡くなった。

現在、資料館は休館しているが、息子の孝康さんは来館の要望があれば資料館を開け、父の思いを次世代に受け継いでいこうとしている。

川野喜一さんの息子 孝康さん
川野喜一さんの息子 孝康さん

川野喜一さんの息子 孝康さん:
資料館を整理する中で、これからじわじわ再度父の思いが伝わり、見学者に少しでも説明ができればいいと思っています

“特攻隊員の孫”が資料館に

この日、1組の親子が資料館を訪れた。
福岡県の須川可愛さんと小学6年生の龍志郎君の親子だ。

資料館を訪れた、特攻隊員の孫
資料館を訪れた、特攻隊員の孫

館内にある写真に写るのは可愛さんの祖父の高木忠義さん。
特攻隊員だったが、突撃することなく終戦を迎え73年の人生を全うした。

可愛さんの祖父、高木忠義さんは元特攻隊員
可愛さんの祖父、高木忠義さんは元特攻隊員

「戦争の話を聞けなかった」という後悔

そんな祖父について調べ始めた可愛さん。
きっかけは、生前に「戦争の話を聞けなかった」という後悔だった。

祖父が元特攻隊員 須川可愛さん:
何か伝えたいことがあったのかもしれないっていう、その後悔があります。来てよかったと思いました

祖父の遺品を整理する中で予科練資料館のことを知り、これまで見たことが無かった祖父の写真などを見つけた。今回は家族のルーツを知り、平和について考えてほしいという思いで龍志郎君を連れてきた。

須川さんの息子 龍志郎くん:
終戦になっていなかったら自分たちもいなかったかなと。ずっと平和な方がいいという感じですね

須川さんの息子 龍志郎くん
須川さんの息子 龍志郎くん

戦後77年。

戦争経験者が少なくなる中、大切に保管された資料も今を生きる私たちに平和の尊さを教えてくれている。

(テレビ大分)

テレビ大分
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