新型コロナの影響を受け、リモートワークでパソコンを長時間眺めたり、自宅にこもりタブレットやスマートフォンを使ったりと今、目を酷使する時間が増えている。特に増加しているのは「子どもの近視」だ。その原因と日常でできる対策を専門の医師に聞いた。 

子どもの視力年々低下 増える「子どもの近視」

文部科学省の調査では、テレビが普及する少し前の1961年(昭和36年)には、裸眼の視力が1.0未満の小学生の割合は約6人に1人だった。ただ時がたつごとに増加の一途をたどり、2021年度の調査では約2人に1人となった。主な原因は眼球自体の奥行きが伸びてしまうことで起きる「(軸性)近視」だ。 

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子どもの視力を守るにはどうすればいいのか?福井大学病院・眼科専門医の杉原友佳医師に聞いた。 

福井大学病院 眼科専門医・杉原友佳医師: 
近視とは目の奥行が長すぎるとか、水晶体の光を曲げる力「屈折力」が強すぎるせいで網膜より手前でピントがあってしまい、網膜上にうまくピントが当たらずぼんやり見えることを近視という 

眼球の奥行き「眼軸」は、成人で24mmくらいの大きさとされる。それより長いと近視眼といわれる。

スマートフォンやタブレット端末など近い距離でモノを見続けた場合、わたしたちの目は目の形を球体からラグビーボールのように変えてしまう。こうして近くを見続けることに順応し眼軸が伸びた目は 逆に遠くを見たときに焦点が合わず、遠くのものがぼんやりと見えてしまう。 

文部科学省では近視の進み具合を示す「目の奥行き」、いわゆる眼軸の長さについて、昨年度、小中学生を対象に初めて調査したところ、小学6年生の眼軸の長さが成人の平均に達していることがわかった。

成人の眼軸の平均は約24mmで、眼軸が長ければ長いほど近視が進んでいるとされる。小学6年生では平均の長さが男子で24.22mmと成人の平均に達している。残念なことに一度伸びた眼軸は元に戻ることはない。 

眼軸が伸びる原因の一つが、30cm以内でモノを見る「近見作業」の増加だ。 

福井大学病院 眼科専門医・杉原友佳医師: 
2~3年前からコロナウイルスがはやっているせいで、家でスマホやタブレット端末を見ている時間が増えたと感じる家庭が多い。必然的に近視を発症したり、近視が進んだりする子が増える可能性はある 

スマートフォンの使用や授業での避けられないタブレット端末の使用もある中、科学的に証明されている視力低下を防ぐ簡単な方法がある。それは3つのうちどれか。 

1. 1日1杯ココアを飲む 
2. 1日2粒ブルーベリーを食べる 
3. 1日2時間以上屋外で活動する 

正解は…3。ここでポイントとなるのが「日光」だ。

眼軸の伸びを抑制する「日光」 “外遊び”の重要性

子どものころ、「暗い所にいないで外に出なさい!目が悪くなるわよ」なんて言われたことはないだろうか。実は外に出て太陽の光を浴びることは科学的にも理にかなっている。 

福井大学病院 眼科専門医・杉原友佳医師: 
近年の研究では屋外で遊ぶことが眼軸の伸びを抑制すると報告が出ている。屋外で遊ぶと眼軸が伸びにくくなるが、直射日光をしっかり浴びないといけないわけではなく、建物の陰や木陰でも眼軸の伸びを抑制する効果が十分あると言われている。対策(紫外線・熱中症)を取って外遊びを増やすのが大切

日光に含まれる何が近視予防に影響するかについては現在、さまざまな研究が行われている。台湾やシンガポール、中国では実際、国が主導して屋外活動を取り入れ、成果が出ているという。 

福井大学病院 眼科専門医・杉原友佳医師: 
新型コロナウイルスの影響で外での遊びが減っている家庭も多いかと思いますが、屋外活動は近視の進行を抑制する効果があるので積極的に外遊びをしてください 

(福井テレビ)

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