自民党の新藤義孝政調会長代行は30日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」について「日本の必要な自衛の範囲として(導入を)検討すべきだ」と述べた。

核開発を続ける北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射し、中国の軍事的脅威が増す中、政府は自衛のために、敵のミサイル基地などの拠点を攻撃する「反撃能力」の保有に向けて、敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」を持つことを検討している。

国産の「スタンド・オフ・ミサイル」の開発・運用には数年がかかるため、当面の抑止力として政府はトマホークの購入を検討し、アメリカ側と交渉していることがわかっている。

これに関し、番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は、「国際慣習法上の自衛権は『必要最小限』ではなく、『必要性』と『均衡性』だ。中国が台頭している国際環境の中で、日本が(自衛のために)本当に持たなければいけないものは何なのかを『必要最小限』に縛られず(国会で)議論してもらいたい」と述べた。

一方、立憲民主党の長妻昭政調会長は、日本の諜報能力の強化を訴えた。長妻氏は「日本のインテリジェンス能力、諜報能力は圧倒的に低い。職員の数はドイツ、イギリスの3分の1、アメリカの40分の1しかいない。専守防衛の国だからこそ、世界で何が起こっているのかを情報収集する能力を圧倒的に強めないといけない」と強調した。

以下、番組での主なやりとり。


梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
核兵器の懸念はロシアだけではない。10月13日、浜田防衛相は北朝鮮について「核の小型化・弾頭化をすでに実現しているものとみられる」と述べた。日本は、核を使う可能性のある国に囲まれているということになるが、日本をどう守るべきなのか。政府がアメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」を購入できないか検討に入ったことがわかった。低い高度を維持して音速に近い速度で飛び、ピンポイントで目標を攻撃することができる、とされている。1991年に湾岸戦争で投入され、2018年にはシリアでも攻撃に使用された。実戦でその高い性能が証明されている。日本政府は自衛隊員を守るため、敵の射程圏外から攻撃できるスタンド・オフ防衛能力として、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾を改良して射程を1000km程度に伸ばす構想を進めているが、配備は2026年度を予定している。それまでの空白期間を埋める戦力としてトマホークが浮上した。反撃能力として使うことも想定しているとみられている。アメリカの研究機関によると、トマホークの射程は1600km。日本海に展開するイージス艦から、北朝鮮だけでなく中国の北京も射程に入る。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
かなり射程が長い巡航ミサイル「トマホーク」の導入が検討されている。与党では反撃能力保有が検討されているが、1600kmを超える射程を持つと言われるトマホークの導入は必要なのか。

新藤義孝氏(自民党政調会長代行、元総務相):
安全保障は相対的なものだ。われわれが相手にきちんと対処できると、それが抑止力になる。今までの日本の防衛戦略に欠落していたのは、スタンド・オフ能力と反撃能力。相手の脅威が確実に日本を上回っているならば、それに対処するのは自国防衛のために必要なことだ。
今までの交渉でアメリカはトマホークを外には出さないということだった。最近の東アジアの状況を考え、装備の隙間を埋めるため、交渉するようになってきたということだ。当然、必要な自衛の範囲として(導入を)検討すべきだと考えている。

松山キャスター:
オバマ政権の時、アメリカは日本が打診してもなかなかトマホークを外に出そうとはしなかったという。トマホークの導入は、専守防衛との兼ね合いがあるが、長妻さんはどう考えるか。

長妻昭氏(立憲民主党政調会長、元厚労相):
私も日本の防衛力について、メリハリつけて強めるところは強める必要があると思っている。ただ、今回は議論の仕方が全くおかしい。国会で敵基地攻撃能力(反撃能力)について聞くと、政府は「まだ検討中だ」と言う。政府は(安保関連)3文書を国会が閉じた後、12月中旬ごろにまとめ、その際、敵基地攻撃能力(の保有)も決めると言っている。国会が開いているときに「敵基地攻撃能力を入れたい」「トマホークも買いたい」と言って堂々と議論すべきだ。いつもこういうふうにこそこそする。われわれも積極的に(議論に)関与する。全部反対ではない。強化するべきところとしては、日本のインテリジェンス能力、諜報能力が圧倒的に低い。その職員の数はドイツの3分の1、イギリスの3分の1、アメリカの40分の1しかいない。専守防衛の国だからこそ、世界で何が起こっているのかを情報収集する能力は圧倒的に強めないといけない。そういう議論をしたいのに、国会を閉じた後に(敵基地攻撃能力について)決めるというのは、いかにもおかしいと思っている。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
手順は重要だ。手順を踏めば、長距離ミサイルを持つことについて、立憲民主党は賛成なのか。

長妻氏:
単に長距離ミサイルを持つのではなく、レーダーも要る。例えば、敵の移動式のものについてはどのように対処するのか、どこを目的とするのか。まずは政府に案を国会に出してもらう。われわれはそれを吟味したい。

橋下氏:
少し安心した。立憲民主党はすぐ「反対」となるのかなと思っていたが、しっかり議論すると。ぜひ国会で議論してもらいたい。国会議員の皆さんにも理解してほしいのは、国際慣習法上の自衛権とは、実は「必要最小限」ではなく、「必要性」と「均衡性」だということ。「均衡性」は相手との関係でバランスを取りましょうということ。持ち過ぎはダメだけど、でも、相手とバランスを持った能力を持たないと抑止力にならないというところが、国際慣習法上の自衛権行使の条件なのだが、これが憲法九条の政府解釈で「必要最小限」となった。米ソ冷戦構造の中で、日本はとにかく相手国、国際関係、国際環境に関係なく、最小限の装備しか考えてこなかった。今、中国が台頭しているこの国際環境で、日本が本当に持たなければいけないものは何なのかを「必要最小限」に縛られずに議論してもらいたい。

長妻氏:
国際標準は確かに「均衡性」が強調される。ただ、日本はそれに加えて「専守防衛」を特に強調して、例えば、攻撃型空母は持たない、核は持たないと(言ってきた)。均衡性の理論で言えば、持つこともできるという理論もあるのだろうが、日本はそれでもあえて「そういうことはしない」と国際社会の中で宣言してきた。戦後ずっとそうしてきた。これを変えるのであれば、相当大変な状況になる。いま安易にそれを変えるのはいかがなものか。

新藤氏:
これ(反撃能力保有)はすでに与党の中でさまざまな議論があって年末に向けて(議論を)積み上げていく、深掘りをしていかなければいけない問題だ。そしてそれは必ず国会で議論がなされる。この国にとって、いま相手に誤ったメッセージとならないように、日本に脅威を与えることは得にならないという形を作る、抑止力を維持することが極めて重要だ。国会での議論は必ず行われる。