火炎のような色と形から、「カエンタケ」と呼ばれるキノコをご存じだろうか。猛毒のキノコで3cm食べると死に至り、触るだけでも手がただれるほど毒性が強烈だ。静岡県の東部を中心に増殖していて、秋のキノコ狩りはもちろん、街中の公園などでも気をつけたい。
富士山麓の別荘地でも発見
雨宮帆風 記者：
ここは裾野市の別荘地に隣接する歩道ですが、このような場所に毒を持つ危険なキノコの発生が相次いでいます
富士山の麓、裾野市十里木（じゅうりぎ）の別荘地。
この別荘地を管理する菊池勇一さんと別荘地に隣接する歩道を歩いていると…。
菊池勇一さん：
この辺一帯にカエンタケが発生しています
色は濃いオレンジ、燃え上がる炎のように上に伸びているのが、猛毒を持つキノコ「カエンタケ」だ。
食べると死亡 触るとただれる“最強の毒キノコ”
その毒は、毒キノコの中でも“最強”といわれている。
東京農業大・橋本貴美子 教授：
ものすごい強い毒がたくさん入っているキノコです。「このキノコだけは触るのも控えてください」という意味で、怖いキノコだなと思う
毒キノコは通常 食べた時に危険が伴うが、カエンタケは触るだけでも皮膚がただれる。もし食べた場合は発熱や嘔吐、手足のしびれなどが表れ、消化器不全や脳神経障害により死に至る可能性もある。
東京農業大・橋本貴美子 教授：
もし食べたということになると、小指の先ほど3cmと言われているが、その程度でもって人1人が亡くなる程度の、ものすごく強い毒が入っています
カエンタケの発生は2022年度だけでも、県内で裾野市のほか、熱海市・富士市・静岡市（清水、井川地区）など、東部を中心に広く確認されている。小山町では町営の公園でも発生が確認された。
4cm超や5本指を広げた形のものも
裾野市の別荘地の庭でも見つけた。
雨宮帆風 記者：
こちらは許可をいただき特別に入らせていただいた別荘の庭ですが、こちらにもありました、カエンタケです
こちらの庭では2021年初めてカエンタケが発生し、2022年も８月頃から徐々に生え始めたそうだ。大きいものは４cmを超えていたという。
別荘地を管理する菊池勇一さん：
（Q初めて見た時は？）「なんだろう」と思い、手を出したくなった。中には５本指を広げているようなものもある
この場所のほかにも別荘地の９カ所ほどで、カエンタケの発生が確認された。
処理は完全防備 焼却炉に直接投入
菊池さんはカエンタケを発見したら、人が触れる危険性がある場合はすぐに処理している。
ウィンドブレーカーのフードかけて帽子をかぶり、肌の露出を極力避ける。肌を出さないように長袖に長ズボン、帽子にゴーグルを装着し、手には必ずゴム手袋をつけるという。
県東部農林事務所はカエンタケを発見したら決して触らないことを徹底し、まず所有者や管理者に連絡してほしいと呼びかけている。
緊急で処理が必要な場合には、無理せず自治体に処理の方法を確認することが求められる。
菊池さんはカエンタケをごみ処理施設に持っていき、処理されるところまで見届ける。
誰かが触れることが決してないように、責任をもって処理するためだ。
菊池勇一さん：
（カエンタケとは）知らずに誰かが手で触った場合に事故が起きる可能性があるということで、直接焼却炉に持っていって、直接投入して焼却処分する
枯れた木に発生 市街地の公園でも注意
カエンタケは、カビで木が枯れてしまう「ナラ枯れ」を起こした木のそばで発生する。
県は、枯れた木の近くでは特に注意するよう呼び掛けている。
県東部農林事務所 林業振興班・中村康成 班長：
カエンタケは山林だけでなく、例えば公園などの一般の方が利用するようなところでも発生が報告されていますので、市街地でも十分気を付けていただきたい。見知らぬキノコを見つけたら、「採らない・食べない・売らない・人にあげない」の４原則を守っていただきたい
カエンタケの季節は６月から１2月頃までだ。ハイキングやキノコ狩りのシーズンを迎える中、危険性をしっかり認識し、正しく恐れることが重要だ。
（テレビ静岡）
