越冬隊長の任務は、一年間にわたる研究・観測活動を滞りなく遂行させること、そして何よりも極寒の地・南極から越冬隊員全員を無事帰国させることだ。

日本で最初の南極越冬隊長に任命された西堀栄三郎氏から60年以上にわたり、代々の越冬隊長に使命感と誇り、伝統が受け継がれている。

11月に出発する第64次南極地域観測隊の越冬隊長は、樋口和生氏。

リーダー像については、「(南極は)1人じゃ何もできない、逃げ場のない閉鎖社会」「隊員1人1人を信頼してサポートするのが隊長」と話す。

このほかインタビューでは、南極での暮らしや研究内容などについて聞いた。

樋口氏の印象は、「真の山男」。インタビュー時も自然体で、物静かだが、話すと場がぱっと明るくなった。樋口隊長の下、南極で取材をする。

〈樋口和生第64次越冬隊長〉
現職:国立極地研究所 南極観測センター特任教員
専門分野:設営全般
南極歴:第50次南極地域観測隊(越冬隊)、第52次南極地域観測隊(越冬隊)、2012年度交換科学者(ケーシー基地:オーストラリア)、第57次南極地域観測隊(越冬隊)

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局国際取材部デスク
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長などを経て現職。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。