陸上競技・走り幅跳びのパラリンピアン、中西麻耶選手(37)。東京パラリンピックから1年が過ぎた2022年8月、「パリで引退」という大きな決断をした。2年後に臨もうとしている彼女に突然の引退宣言の理由を聞くと、「自分自身のこと」ではないという答えが返ってきた。

6位に終わった東京パラ五輪 残ったのは「寂しさ」

中西麻耶選手は、大分県由布市出身の37歳。2006年に仕事中の事故で、右足のひざから下を失うが、失意の中で出会ったパラ陸上が彼女の人生を変えた。

これまで4大会連続でのパラリンピック出場や、2019年世界パラ陸上で優勝を果たすなど、数々の成績を残してきた。

ただ、1年前の東京ではメダルが期待されながらも、6位入賞に終わった。
振り返った時、麻耶さんから出てきた言葉は自身の悔しさよりも、コロナ禍でその後につながらなかったことの寂しさだった。

6位に終わった東京パラ五輪
6位に終わった東京パラ五輪
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中西麻耶さん:
この東京開催ということでパラリンピックが盛り上がり、身内でない人たちというか、関係者以外の方でもわりかし会場に見に来てくださりつつあった動きが、やっぱりパッタリなくなっちゃったなぁっていうのがすごく寂しくて。
そう思うと、東京でせっかく開催されたパラリンピックで一体我々は何を残せたんだろうというのを深く考える時間が、ずっと続いている感じですね

無観客で行われた東京パラリンピック。一体何を残せたのか、と考える日々が続いたという。

突然の“引退宣言” その裏には「スタッフを揃えること」の難しさ

そして、2022年の8月の終わり。中西選手のインスタグラムに、驚きの言葉がアップされた。

突然の引退宣言
突然の引退宣言

「2024年でキッパリと引退しようと思います。」

中西麻耶さん:
もうパラリンピック何大会も出てきて、年々スタッフを揃えるのがものすごく大変になっているんですよね。実は

自分自身のことが理由ではなく、年々難しくなるコーチ探しといった、「戦いに行く準備が整わない」ことが決断の理由のようだ。

年々難しくなるコーチ探し
年々難しくなるコーチ探し

中西麻耶さん:
ベテランのくせに申し訳ないんですけど、1人じゃ全然やれなくて。毎日一緒にやったら世界記録に届くのにな、っていうのがすごく、やっぱりもどかしいんですよ。
でもやっぱり、それってどれだけ大変なことかもわかっていますし、コーチの方にはコーチの方の人生もあるし、コーチの方の家庭もあったりするんで

中西選手の競技への思いと、その道のりを共にするコーチと出会えないつらさ。そのバランスの中で導いた究極の選択のようだ。

パリで引退するとなると、残された時間はあと2年。

残された時間は2年
残された時間は2年

中西麻耶さん:
パリまでの残り2年間って、言ったら今までのスパンの半分。半分の期間なのであれば100%、自分がやるべき選択をしっかりと妥協することなくやっていこうと思っているので、最後まで私の有終の美を見届けていただけたら嬉しいなと思います

次世代の夢を応援する活動「地方でやっている選手なので、苦労がわかる」

そして中西選手は自身の最後の挑戦と並行して、次の世代の人たちが夢を持つための手助けをする活動を始めようとしている。

2022年8月、車いすテニスのレジェンド・国枝慎吾選手や、スケートボードの金メダリスト・堀米雄斗選手、スポーツクライミング・野中生萌選手とともに、次世代の人の夢を応援する活動を行うことを発表した。

次世代が夢を持つための手助けも
次世代が夢を持つための手助けも

中西麻耶さん:
その中でも、私は唯一地方でやっている選手なので、誰よりもその苦労をわかるだけに、皆さんにとってのいい一歩を踏み出せる大きな役割になれるんじゃないかなと思っています

(テレビ大分)