2011年に豪雨被害を受け、福島県内の一部区間で不通となっていたJR只見線が、10月1日に全線再開した。
休日に車内で行っている“おもてなし販売”では、只見線地域コーディネーターの酒井治子さんが、乗客に話しかけていた。観光案内も「おもてなし」のひとつだ。

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好評!「あわまんじゅう」の限定セットは酒井さんが直接仕入れ

只見線地域コーディネーター・酒井治子さん:
お客さまに次(行きたい場所)を見せていくというのが、大きな仕事かなと思っていますので。うれしいですよね、ずっと乗りたかったって言われると

観光客だけでなく、地元の乗客にも好評な、柳津町(やないづまち)の「あわまんじゅう」。

福島・柳津町内にある4つの店の「あわまんじゅう」を食べ比べできる、車内販売限定の特別なセットで、酒井さんが店に足を運んで仕入れている。

まんじゅう処 はせ川屋・長谷川トメ子さん:
本当にありがたいです。お客さんもこれ食べたから来たよとか、たまにですけどいらっしゃるんですね

新潟・福島豪雨で思いが一層強く…「只見町を盛り上げたい」

只見線に多くの人に乗ってもらい、沿線の地域も盛り上げようと活動する酒井さん。新潟・福島豪雨をきっかけに、その思いはよりいっそう強くなった。

只見線地域コーディネーター・酒井治子さん:
(豪雨で不通になって)本当にショックで、なおかつ二度と走ってこないかもしれないってなった時に、自分はこのままで良いのかなというのを考えるきっかけになった

酒井さんが、只見町の観光協会に勤めていた2015年。只見線の全線再開に向けて、沿線の自治体が一丸となって動いた、列車に手を振る条例の制定に力を尽くした。

当時、酒井さんは「意思表示をきちんとして『また来よう』というファンを増やしていくことがすごく大事」と語っていた。

さらに、会社を作って、只見線に関わる商品を開発し販売している。全線運転再開を受け、売れ行きも好調だという。

「ここがもう一度スタートの地点」

そして、51年前、新潟県側と1本のレールでつながり、只見線が開通してからの歴史を振り返る作品展の準備も進めていた。

町の内外から集めた貴重な写真の中には、酒井さんが実家から探し出してきた写真もある。

只見線地域コーディネーター・酒井治子さん:
(旧国鉄職員の)父親がその当時に会津宮下駅にいたみたいで、当時の働いていた人たちの写真がすごく素敵だなと思って

車内販売に観光案内、関連グッズの企画・開発から販売まで。そして写真展も。どれも、子どものころから乗ってきた只見線と、只見町のためを思って取り組んでいる。

只見線地域コーディネーター・酒井治子さん:
わたしたちにしてみれば、ここがもう一度スタートの地点だと思っているので。地元の方たちに、ここからまた頑張って只見町と奥会津を盛り上げていってもらいたいと思っているし、自分自身も頑張ろうと思っています

酒井さんにとっても地域にとっても「なくてはならない」只見線が帰ってきた。只見線にとっても、地元の人たちにとっても、新しい挑戦が始まっている。

(福島テレビ)

福島テレビ
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