夜中しか営業しないのに、行列ができる“あんこスイーツ”の専門店。
「夜中に甘いものを食べる背徳感を楽しんでもらいたい」と語る50歳の男性が営む一風変わったスイーツ店だ。

開店は午後11時以降から…それでも店は満席

岡垣貴憲さん:
手間をかけた分、時間をかけた分、おいしいエキスが入っているような気がして、手を抜かずにずっとやり続けていますね

佐賀市内にひっそりとたたずむ「よなよなあん工房」。あんこスイーツの専門店だ。他の店と違うのは、夜中しか開かないこと。営業日や開店時間も決まっていない。

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そんな一風変わった店を営んでいるのが岡垣貴憲さん(50)。2016年に店をオープンした。営業は、基本的に午後11時以降から。30分ほど前にSNSで告知をすると、店の前にはすぐに行列ができる。

男性:
きょうはツイッターを見て。いつもだいたい30分くらいには、もう何人か並ばれている感じで

この日も、開店と同時に満席。注文から会計まで、全て一人で行う。

男性:
おいしいです

女性:
たまにチェックして、開くかなみたいな。で、きょうたまたま見つけて

「人生が楽しくなった」寝る間も惜しんであんこ作り

リピーターも多い人気店だが、実は岡垣さんはこの店が本業ではない。昼間は薬局を経営する会社で働き、企画や広報を担当。チラシなどのデザインをしている。

岡垣貴憲さん:
店舗の外観ですね。ロゴの配置だったり、看板の配置だったりも作りました

何でもやりたがりだ、と話す岡垣さん。これまで様々な仕事をしてきた。

岡垣貴憲さん:
私は新卒で印刷会社に入って、そこで企画の仕事、デザインの仕事、マーケティングや流通の仕事もさせてもらった

他にも健康食品メーカーや食品の製造販売会社で、商品開発やパッケージのデザインなども学んだという。

岡垣貴憲さん:
回り道はしたかもしれないけれど、でも一つ一つは積み重ねていっている感じはあった

そして、現在の会社に入るタイミングで始めたのが、この「よなよなあん工房」。

(Q.あんこ店をやると思っていた?)
岡垣貴憲さん:

いやいや、全然思ってないですね。逆に、人生こんなことあるんだなって。今思うと、本当にあの時受けたということで、人生が楽しくなっているし、いい選択をしたなというか

元々この場所にあった飲食店が移転する際、店主と仲が良かった縁で建物を譲り受けた岡垣さん。ここで何かやってみないかと言われ、当時毎日のように食べていたあんこの店を開くことにした。

岡垣貴憲さん:
ちょっと作ってみたら、まあまあおいしかったので、それでこんなんでいいかなと思って始めたのがあんこ屋、そんな感じです

ささいなきっかけで始めたあんこ作りだったが、客の評判は想像以上。今は、日中働いた後、夜にあんこを作るというハードな生活で、寝る時間はほとんどない。

店の一番人気は「ぜんざい」。北海道産の小豆を使い、半日かけて豆をできるだけつぶさないように丁寧に作ったあんこ。甘さ控えめで、小豆の風味が最大限に引き出されている。

岡垣貴憲さん:
よそのあんこと比べたら、うちの味は違うなと思う。気に入ってもらえているのはうれしいなと思いながら作っています

客の喜ぶ顔を見るため、きょうも岡垣さんは、よなよな鍋の前に立ち続ける。

岡垣貴憲さん:
夜中ちょっと甘いもの食べたいなというニーズに応えられるような、背徳感を楽しんでもらえるような、そういったお店を続けていけたらと思っている

(サガテレビ)

サガテレビ
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