「規格外」の卵でサンドイッチ

佐賀・武雄市山内町の養鶏場の3代目夫婦が、出荷できないいわゆる「規格外」の卵を使った贅沢な「たまごサンド」を開発。
全粒粉入りのオリジナルパンを使った、“何度でも食べたくなる”“耳までおいしい”こだわりの一品。
販売開始から30分で売り切れる大人気商品となっている。

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購入者の父子:
4つ買いました

購入者の女性:
すごく楽しみにしていた

2月23日、武雄市山内町にある道の駅横のレストラン跡地で販売が始まった、たまごサンド。

武雄市山内町にある道の駅にオープンした「picnic」
武雄市山内町にある道の駅にオープンした「picnic」

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
ほかにない味にしたい

妻・茉実さん:
新鮮な卵を味わえる良いものができた

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さんと茉実さん夫妻
いとう養鶏場3代目・伊東大貴さんと茉実さん夫妻

武雄市山内町、標高約350メートルの山あいにある、いとう養鶏場。

武雄市山内町、標高およそ350メートルの山あいにあるいとう養鶏場
武雄市山内町、標高およそ350メートルの山あいにあるいとう養鶏場

3代目の伊東大貴さん(28)。
養鶏場では約3万羽を飼育し、卵の生産・販売を行っている。エサには地元の野菜などを使い、1日に2万個ほどの卵を生産している。

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
生まれてすぐ来てもらって、ずっと育てていき、卵を産むようになるまで半年以上かかるが、そこまで育てていくことを大事にしている

しかし、産まれた卵のうち、5パーセントから10パーセントは、色や大きさ、形がいびつだったりヒビ割れていたりして、出荷できないいわゆる“規格外”の卵。
特に、いとう養鶏場の卵は贈答用が多く、その分 規格外の卵が出てしまうという。

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
食べられる卵なので、自分たちが作ったものは自分たちで売れるというのが一番いいのかな

“その道のプロ” 紹介 …県が農家サポート

さらにはこんな悩みも…

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
こういう山のなかでずっと引っ込んでやっていて、直接お客さんとつながる機会がなかったので、加工品があるとそこを接点として、お客さんとも直接会話できることが増えるかなと

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん
いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん

しかし、養鶏一筋の夫婦にとって、商品開発は簡単ではない。
そうした農家をサポートしているのが、県の事業「さがアグリヒーローズ」。
農家に、デザイナーなどその道のプロを紹介し、商品開発や販路拡大を図る取り組み。

伊東さん夫婦は、料理研究家と一緒に、規格外の卵を使った加工品を開発することになった。

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
プリンとかいろいろ検討はしたが、一番卵というのがダイレクトに伝わるのが“たまごサンド”じゃないかなと

2021年11月。
長崎・波佐見町にあるパン屋。

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
きょうはたまごサンドを作るにあたって、パンでご協力いただけるパン屋に話を伺いに来た

日頃、取引のあるこちらのパン屋で、たまごサンド専用のパンを作ってもらうことに。
パンの耳は残すことに加え、見た目や香りを引き立たせるなど、イメージが膨らんでいった。

PANCLUB・富永竜太代表:
これから、どんなサンドイッチができるか楽しみにしている。人気になってもらって、「うちのパン使ってもらっているんだよ」と自慢する

PANCLUB・富永竜太代表
PANCLUB・富永竜太代表

料理研究家・広沢京子さん:
養鶏場の伊東さんの卵が使えるというのは強みなので、おいしい卵をたっぷり使ったマヨネーズからしっかり作って、タマゴサンドを作っていきたい

料理研究家・広沢京子さん
料理研究家・広沢京子さん

たまごサンドを作るのは、主に妻の茉実さん。

妻・茉実さん:
毎日作っている、最近。で、毎日たまごサンド食べている。レシピ、ちょっとまだ完全に覚えきれていないので確認している

オープンに向け、この日もひたすら夫婦で練習を続けていた。

妻・茉実さん:
新たなことをやるということで、プレッシャーや周りにあまり良く思われないこともあったと思うけど、頼もしいなと

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
頼もしさは…あまりない。さっきも怒られていたんで…

養鶏場の卵の大ファン…SNSや口コミで広がり大盛況に

何度も試作を重ね、完成したのは、新鮮な卵をたっぷり使って、毎朝手作りをするマヨネーズを入れた“何度でも食べたくなる”味。

耳までおいしい、全粒粉入りのオリジナルパンを使ったこだわりの一品。

客(男性):
卵の大ファンで、それがサンドイッチになったらどんな味になったのかなと楽しみで

たまごサンドは1セット520円、もともと50セットを用意する予定だったが、あまりの人気ぶりに、20セットほど追加。
それでも販売開始から30分ほどで、すべて売り切れてしまった。

客(女性):
ぜひ食べたかったけど、またあす以降に来ます

訪れた人たちは武雄市在住が多く、ほとんどが、いとう養鶏場の卵の根強いファンばかり。
SNSや口コミで広がり、オープン初日は大盛況に終わった。

妻・茉実さん:
正直すごく疲れたが、“完売した”ということが何よりうれしい。店頭に立つ予定だったけれど、製造に追われて、今後はもう少し落ち着いて、お客さんの顔を実際に見られるように頑張りたい

いとう養鶏場3代目・伊東大貴さん:
卵もだけど、地域にもしっかり貢献していける店になっていければ

(サガテレビ)

サガテレビ
サガテレビ

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