オウム真理教の松本智津夫・元死刑囚をめぐって、次女が、国を相手に、遺骨などの引き渡しを求めて、裁判を起こしたことが分かった。すでに最高裁決定で、次女を引き渡し先にする判断が確定したにもかかわらず、国が応じてこなかったため、提訴に踏み切ったという。
松本元死刑囚は、2018年7月に刑が執行された。松本・元死刑囚は、執行直前に、自らの遺骨と遺髪について、四女を引き取り先に指定したとされていた。その後、四女の意向を受けて、遺骨と遺髪は、東京拘置所に保管された。
しかし、次女らが、これに反発。親族の間で争いとなり、家事審判が申し立てられ、東京家裁は、2020年9月、次女を引き渡し先にすることを決定した。去年、東京高裁は、家裁の判断を支持し、最高裁も、四女側の特別抗告を棄却していた。しかし、これまでに、遺骨と遺髪は、次女のもとに引き渡されていないという。
提訴について、松本元死刑囚の次女は、「父の遺骨を政治的にも宗教的にも利用されたくありません。娘としてただ静かに悼み弔いたいと願っています」とコメントしている。
一方、松本元死刑囚の遺骨などをめぐっては、オウム真理教の後継団体にとって、崇拝の対象となる恐れがあるため、公安当局が警戒を強めている。