「時間がないなと思うときもあるが、逆に充実している。」3姉妹の育児に追われながらも、競技への復帰とプロを諦めきれずにいた関口さんの背中を押してくれたのは家族でした。

この春、ボウリングのプロテストに合格した長野県上田市の女性は3姉妹を育てる母親。家族の後押しで念願のプロとなり、競技と子育てにまい進している。

難関の資格試験を突破した「プロボウラー」

プロボウラー・関口実穂さん
プロボウラー・関口実穂さん
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なめらかなカーブを描き、端に残ったピンを倒す。

客:
本当にプロだなと

客:
素晴らしい、ああなりたいんだけど、なかなか

周囲の目をくぎ付けにしていたのは、プロボウラーの関口実穂さん(28)。

プロボウラー・関口実穂さん:
立ち位置と通す位置が決まっているので、そこにいけば絶対取れると。自信はありますね

関口さんは2022年5月、日本プロボウリング協会の資格試験を突破した「新米プロボウラー」だ。「競技人口1000万人以上」と言われる中、プロは1106人。2022年も県内の合格者は2人という難関だった。

プロボウラー・関口実穂さん:
本当にみんなが応援してくれているので、それこそ結果を出さないといけないと思って、焦ってはいけないけど焦ってます

3姉妹を育てる母親

関口さんにはもう一つの「顔」がある。幼い3姉妹を育てる母親だ。

関口実穂さんの家族
関口実穂さんの家族

長女・実優ちゃん:
優しくて、きれいでちょっと怖い

次女・実央ちゃん:
怒ると怖いでーす。パパもそうでーす

夫でアマチュアボウラーの匡史さん(47)の協力も得ながら、育児と競技に励む関口さん。家族の支えや励ましがあって、ようやく始まったプロ生活だ。

プロボウラー・関口実穂さん:
『お母さん、仕事頑張ってね』とか言ってくれて、子どもたちも甘えたいんだろうけど、そうやって言ってくれるので本当に頑張らなきゃなと

関口さんがボウリングを始めたのは小学3年生の時。

提供写真
提供写真

プロボウラー・関口実穂さん:
(大会の)小学校低学年の部で3位をとって銅メダルをもらった。それがうれしかったのを今でも覚えている、原点です。何か表彰されるのがうれしくて、そこで頑張ろうと

そこから一気にのめり込み、中学・高校は「ボウリング漬け」の日々。
国体にも出場し、「プロ」を意識するようになった。

プロボウラー・関口実穂さん:
学校よりボウリング場がよくて、それが生きがいみたいな感じだった。プロが来て投げている姿を見たときに、すごく格好いいなと。プロというボウリングの職業があるんだなと知って、そこで単純に私もプロになりたいと

関口実穂さん(一番左)(提供写真)
関口実穂さん(一番左)(提供写真)

大学でさらに力をつけ、「全日本大学選手権」の優勝にも貢献。
将来も有望視されていたが、これからというタイミングで妊娠が判明。大学をやめて出産し、当面、育児に専念することにした。

プロボウラー・関口実穂さん:
子どもができたときはナショナルチームの選考会も考えていた、一番乗ってた時期だった。(出産後は)筋力が落ちて感覚とかも全然違う。こんなはずじゃなかったみたいな、結構どん底だった

家族が後押し 2度目の挑戦で合格

プロボウラー・関口実穂さん:
おうちゃん、宿題やったの?お母さん見てないよ

育児に追われながらも、競技への復帰とプロを諦めきれずにいた関口さん。家族が背中を押してくれた。

子どもからのメッセージ―。

長女・実優ちゃん&次女・実央ちゃん:
プロテスト、がんばってね

プロになることを決意しブランクを埋めるため、さまざまな大会に出場。感覚が徐々に戻っていった。そして、2021年に続く2度目の挑戦で念願の「プロボウラー」に。

プロボウラー・関口実穂さん:
家族がそれなりに理解があって協力してくれるので、今がある。それがなかったらプロテストも受けられなかったし、競技も続けることができなかった

9月12日、長野市のラウンドワンスタジアム長野店。今も時間があれば5ゲームから10ゲーム、練習に励んでいる。

大会は左右の2レーンを交互に使用。大事なのは、オイルの塗り具合などを瞬時に把握し、投球を修正する「対応力」だ。確かに左右で投げる位置が違う。

プロボウラー・関口実穂さん:
投げて結果どうなるのか、レーンによって違ったりもするので、どういうときはこうするなど引き出しを増やしている

ボウリング場の仕事や育児もこなす

プロになったとはいえ、賞金で生活できるのは一握りの選手だけ。練習をするボウリング場で働き、家計を支えている。

プロボウラー・関口実穂さん:
時間がないなと思うときもあるが、逆に充実している。いかに自分の中で切り替えができるのかを意識している

育児や仕事を続けながらの挑戦に家族は…

夫・匡史さん:
大変な中、よく家事とかこなしてやってくれて、もちろん自分も手伝うが、そういうのをやりながら仕事をしてやっているので、全面バックアップしてやっていこうかなと

ボウリングの魅力の発信、ジュニア育成にも

新人戦で「224ピン」を倒して4位に食い込んだ関口さん。
結果を残すのと同様に力を入れているのが、ボウリングの「魅力発信」だ。

プロ合格記念の交流会
プロ合格記念の交流会

この日は愛好家との交流会に臨んだ。

参加者:
子ども3人いてプロになったんだもん、素晴らしい

参加者:
ママさんなんだけど頑張って、応援してきてくださる人も多くいて、それは彼女の人柄なんだろうなと。頑張ってください

プロ合格で教室なども開けるようになり、今後はジュニア世代の育成にも力を入れたいと話す。

「ママ」として、「プロボウラー」として。
少し遠回りしたが、関口さんは家族という応援団を得て、人生の新たなステージに立っている。

プロボウラー・関口実穂さん:
大変さはあるが自分もそうだし、子どもたちも喜んでくれているので、そこは代えがたいなと。大変さより勝っている。生涯現役で続けられるところがボウリングの魅力、私も生涯現役でプロでいたいなと

(長野放送)

長野放送
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