直接会うことなく、電話やインターネットを利用して面識のない相手からお金を奪う「特殊詐欺」。
増え続ける被害を食い止めようと、広島県警が考案したのは「4コマ漫画」だ。4コマ漫画を制作する女性警察官を取材した。

実際に届いたメッセージも漫画の題材に

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(1コマ目)とめちゃん、パトロール中…「あれ?これって?」
(2コマ目)携帯電話から「私の言うとおりにATMを操作してもらうと、還付金が受け取れますよ」「はい、分かりました。振込ボタンを…」
(3コマ目)「待って~それは詐欺よ!」
(4コマ目)「ストップ!ATMでの携帯電話」

これは、「還付金がある」と言ってお金をだまし取る特殊詐欺の手口を伝える4コマ漫画。広島県警のホームページで1年以上にわたって連載されている。
他にも、携帯電話のメールサービスを使った架空請求など特殊詐欺への対策も描かれている。

4コマ漫画に描かれているSMS(ショートメッセージサービス)を使った架空請求
4コマ漫画に描かれているSMS(ショートメッセージサービス)を使った架空請求

この漫画を手掛けるのは、県警本部の特殊詐欺抑止係・石川優さん。石川さんは、複雑な特殊詐欺を分かりやすく伝えようと、独学で4コマ漫画を描き始めた。

県警生活安全総務課・石川優 巡査部長:
一番最初に描いた4コマ漫画は、実際に自分のスマホに届いたショートメッセージを題材にしました。まだまだ広報できていない手口や、気をつけてもらいたいことを情報発信できていないと思ったのが始まりです

4コマ漫画には、石川さんが考えたオリジナルのキャラクター「とめちゃん」が登場する。とめちゃんは”交番に勤務する3年目の警察官”という設定。

4コマ漫画に登場する警察官の「とめちゃん」
4コマ漫画に登場する警察官の「とめちゃん」

県警生活安全総務課・石川優 巡査部長:
とめちゃんが交番で勤務中に「お巡りさん、こんなメールが届いたよ」とかけ寄ってくる話や、とめちゃんが帰宅中に起こった出来事など…仕事や暮らしの中で遭った詐欺を4コマ漫画にしています。とめちゃんの表情にもこだわって、見る方が4コマ漫画を通して詐欺に注意してもらえるように描いています

「手口知っていれば、詐欺だと気づける」

2022年の広島県内の特殊詐欺による被害は、8月末時点で133件、5億240万円あまり。前の年の同じ時期と比べて、被害額は約2億7600万円も増加している。
相次ぐ被害を食い止めようと、広島市の商業施設で4コマ漫画のパネルが展示された。

「アクア広島センター街」で展示された4コマ漫画のパネル
「アクア広島センター街」で展示された4コマ漫画のパネル

石川さんは、その場を訪れた人に4コマ漫画を紹介して特殊詐欺の手口や危険性を訴えた。

県警生活安全総務課・石川優 巡査部長:
新しい手口も増えて、4コマ漫画に登場するいろいろな手口が現実にあります

訪れた人:
自分は詐欺に掛からないと思っている人に限って、詐欺に掛かるみたいだから怖い。漫画だと分かりやすいと思うよ

訪れた人に4コマ漫画を紹介する石川さん
訪れた人に4コマ漫画を紹介する石川さん

石川さんは「手口を知っていれば、自分の身に同じようなことが起きたときに特殊詐欺だと気付ける。犯罪に遭わないように、自分で予防できるのが特徴」だと言う。4コマ漫画を通して特殊詐欺の手口を知ってもらう…それが石川さんの考える被害を防ぐ方法だ。

クスっと笑えて”読者に分かりやすく”

8月下旬、石川さんは別の部署へ異動が決まり、漫画の制作は最終段階へ。新作の構想を練っていた。

新作4コマ漫画の下書き
新作4コマ漫画の下書き

県警生活安全総務課・石川優 巡査部長:
ここ最近、パソコンに“警告”と出て、“ウイルス感染した”という架空料金請求詐欺の手口が頻繁に起こっているので、それを4コマ漫画にしようと思っています

県内では、携帯電話やパソコンを使った特殊詐欺が約3割を占めている。

石川さんはインターネット利用の際の注意を呼び掛けようと、新たな漫画に着手。下書きをして、上司に提案する。

県警生活安全総務課・岡村正孝 課長補佐:
このキャラクターに声があった方がおもしろいかもしれないね。ドヤ顔でもいいかも

県警生活安全総務課・石川優 巡査部長:
ドヤ顏、いいですね。漫画の最後を俳句で締めるので、オチもつけたいなと思って…

県警生活安全総務課・岡村正孝 課長補佐:
新しくて、いいと思うよ

岡村さんは、「4コマ漫画の最後にクスっと笑えた方が、おもしろおかしく詐欺に関心を持ってもらえると思ってアドバイスしました」と話す。

複雑な特殊詐欺を分かりやすく伝えて被害を減らしたい。そのためには読者を引きつけるような漫画を描かないと…石川さんが奮闘した末に完成した作品がこちら。4コマ続けてどうぞ。

県警生活安全総務課・石川優 巡査部長:
登場人物の顔を大げさに表現したり、驚いたり叫んだり、効果音を入れることで、見る方にも楽しんでもらえるように力を入れました。分かりやすく、特殊詐欺の手口や対策を知ってもらいたいというのが一番の思いです

特殊詐欺のさまざまな手口を知ってもらおうと、考案された4コマ漫画。読者を引きつける工夫が被害の防止につながっている。

(テレビ新広島)