食品の値上がりが続くなか、北海道のパン業界が始めたお得で「優しい」取り組みが話題だ。きっかけはフードロス対策。家計にも地球にうれしいニュースだ。

大きなフランクフルトにサルサソースが乗った総菜パン、320円。生クリームたっぷりの菓子パン、200円。そしてパストラミビーフがたっぷりのサンドウィッチは440円。合計960円が、なんと3つで500円になる。
きっかけはフードロス対策。パン業界の新提案だ。

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"もったいない"をお得に止める…客も店もうれしい「新提案」

創業から70年以上、スイーツとパンの老舗「もりもと」。全道22店舗で5月からタイムサービスを始めた。

もりもと 和泉洋平さん:
お客様にとっては、ほしい商品や高い商品も買いやすい取り組みだと思います

客:
半額以下で買えるという事ですかね、まとまれば

客:
今なんでも高くなっているから、助かります

これまで「もりもと」では行なっていなかった、閉店前のタイムセール。始めるきっかけは小麦価格の高騰で、3年ぶりに行った商品の値上げ。そしてフードロス対策である。

もりもと 和泉洋平さん:
物価上昇に対して、ただ値上げするのではなく、客はどうしたらハッピーか。廃棄になってしまう物を安く提供することで、客は買いやすく、店側も廃棄する無駄な物が減る。以前よりも廃棄する物が約20%減りました

年間570トンの"フードロス"…「削減」にスマホアプリも

本来食べられるのに捨てられる食品。農林水産省によると、家庭や店等から廃棄される食品は年間570トン!そんな品物をレスキューしようと、スマホ・アプリを使った取り組みも始まっている。

ブールアンジュ大同生命札幌ビル店 宮下美咲さん:
TABETEに入れる商品をピックアップしているところです。少し商品の製造量が多かったり、少し型崩れをしているものを優先的に選んでいる

2年前、札幌市中央区にオープンした「ブールアンジュ」。東京を中心に15店舗を持つおしゃれなパン店だ。この店が利用しているフードロス削減アプリが「TABETE」。
生産余剰分や形崩れのパンなど出品が登録されると、アプリが消費者に通知。欲しい品物があれば、店に取りに行く仕組みである。

この店では、ひとまとめにした品物を680円で販売している。この日の袋の中身は…

ブールアンジュ大同生命札幌ビル店 宮下美咲さん:
ミルククリーム。アンジュの豆パン。あんバター。あとはカレーパンです

アプリ利用者:
すぐ食べるので、賞味期限が近くても問題がないし、お得でもある

アプリ利用者:
フードロスをレスキューしたい思いは大きい。今のように教えてもらえるとうれしくなりますね。きょうは何が入っているかなと

もちろん消費者にとってもお得。

ブールアンジュ大同生命札幌ビル店 宮下美咲さん:
必ず袋の中は1000円を超えるように商品組みをしているので、普段手を出しにくい商品も味を知ってもらえる

4年前から始まったフードロス削減アプリ「TABETE」。全国で53万人が利用し、2200店舗が登録しているという。特にパンやお菓子の店の登録が多いそうだ。

TABETEを運営するコークッキング 伊作太一さん:
特にパンやケーキ店などショーケースのある店は、並べて置かなくては売れないという現状がある。閉店間際でも棚に並んでいると、"おいしそうだな"と在庫によって購買意欲がかき立てられる

このアプリ、北海道内では札幌を中心に35店舗が登録している。値上げ時代だからこそ、家計にも地球にも優しいフードロス対策、取り組んでみてはいかがだろうか。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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