聴覚障害のある女の子が重機にはねられて死亡し、両親が運転手らに損害賠償を求めている裁判。両親が証言台に立ち、「娘の11年間の努力を否定しないでほしい」と訴えた。

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証言台で語った両親「娘の11年間の努力を否定しないで」

安優香さんの父親・井出努さん:
悔しい思いをぶつけることができて、気持ちとしてはすっきりしてます

裁判後に会見を開いた父親の井出努さん。 29日に証言台で語ったのは、「娘の11年間の努力を否定しないでほしい」という思いだった。

生まれつき聴覚に障害があった井出安優香さん。

2018年、11歳の時に大阪市生野区の歩道で、てんかんの持病を持つ男が運転していた重機にはねられ亡くなった。

生まれた当初、医師から「言葉を話すことは難しい」と言われた安優香さんだったが、聴覚支援学校に通い、努力して人前でも堂々と話せるようになっていた。

運動会で話す安優香さん:
紅組白組の想いのこもった、迫力ある応援をご覧ください

損害賠償求め両親が証言台に  ”争点”は得るはずの将来の収入「逸失利益」

両親が、運転手の男や会社に対して損害賠償を求めている裁判。 争点となっているのは、安優香さんが事故にあわなければ得るはずだった将来の収入「逸失利益」だ。
被告側は、「聴覚障害者の平均賃金を基に計算するのが相当」として、「全労働者の平均賃金」の約6割の額を主張する一方、両親は、全ての労働者の平均賃金を基に計算すべきだと主張している。

29日の裁判で、安優香さんの父親は…

安優香さんの父親・井出努さん:
被告の主張は、娘の11年間の努力を否定した人権差別です。相手方の主張が通れば、この世の中、狂ってしまう。公平な判断をお願いしたい

また、安優香さんの担任教師は「勉強は100%完璧ではありませんでしたが、努力を積み重ねていた。聞こえる子と同じように苦手な教科があるのは当然で、聴覚障害のせいとは思っていません」と話した。

そして、安優香さんの母親は「事件から一年一年追うごとに、悲しみと苦しみが深く大きくなっています。大事な娘を返してほしいです」と話した。

安優香さんの母親・井出さつ美さん:
安優香が見ているので頑張りました。安優香の11年間の努力を伝えないと、という強い気持ちがありましたので、それは100%伝えきれたと思っております

原告側は、聴覚能力と労働能力に関係はないと引き続き訴えていくことにしている。

(関西テレビ「報道ランナー」8月29日放送)

関西テレビ
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