鹿児島県内に住む70代の女性が、警察官や検事を名乗る男らに現金・暗号資産・金(ゴールド)あわせて約1億3300万円相当をだまし取られていたことがわかった。被害の発端は一本の電話だった。「あなたは重要参考人だ」——その言葉が、数カ月にわたる巧妙な詐欺の入り口となった。

「元銀行員を逮捕した。あなたの名義の通帳を持っていた」

県警によると、2025年10月中旬、女性の自宅に警察官を名乗る男から電話があった。男は「元銀行員の男を詐欺で逮捕しており、あなた名義の通帳を持っていた。あなたはこの事件の重要参考人だ」と告げた。

続いて検事を名乗る別の男が「捜査に協力し、守秘義務を守りなさい」と口止めした。家族や身近な人間に相談できない状況に追い込むことで、女性は孤立した状態で犯人グループの指示に従わざるを得なくなっていった。

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LINEビデオ通話で「制服姿の男」が取り調べ

さらにLINEのビデオ通話を使った「取り調べ」が行われ、警察官の制服のようなものを着た男が画面に登場し、「金融庁が管理する取引所に開示請求するために資金を送金する必要がある」と女性に告げた。

女性はこれを信じ、2025年10月下旬から2026年2月中旬にかけて、現金600万円と約6000万円相当の暗号資産を送金した。

「金を国税局に預けろ」 2・8キロの金塊を指定場所に置く

被害はさらに続いた。2026年3月中旬、検事を名乗る男から「あなたが持っている金を国税局に預けなければならない」と指示を受けた女性は、県内の指定された場所に時価6700万円相当の金、2・8キロを置き、だまし取られた。

現金・暗号資産・金の被害総額は約1億3300万円にのぼる。現金と暗号資産に加え、現物の金まで奪われるという手口の巧妙さが、被害額の大きさにつながった。

金の取引会社からの情報提供で発覚

事件が明らかになったのは2026年4月のことだ。女性と金の取引をしていた会社から警察に情報提供があり、被害が発覚した。長期にわたって被害が拡大した背景には、「守秘義務を守れ」という口止めによって女性が誰にも相談できなかった事情があると考える。

警察は「電話やビデオ通話での取り調べは行わない」

鹿児島県警は、LINEなどでの連絡や電話・ビデオ通話での取り調べは一切行わないと明言している。警察官を名乗る人物から電話で「捜査の対象になっている」などと言われた場合は、すぐに電話を切り、警察相談電話や最寄りの警察署に相談するよう呼びかけている。

制服姿をビデオ通話で見せる、守秘義務を盾に口止めする、暗号資産や金(きん)といった多様な形で資産を要求する──今回の手口はきわめて組織的かつ巧妙だ。高齢者が狙われるケースが後を絶たない中、身近な高齢者への声かけと、不審な電話への警戒が求められる。

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