銀座のアップルストアが木造ビルへと一時移転した。

国内初 耐火木造の商業施設

入居するビルの建て替え工事のため、8月30日から移転先で営業を再開したApple銀座。

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午前6時から待機していた人:
もう最高。入るときに店員とハイタッチできて、あそこでテンションがすごい上がって、もう悔いはないです。

午前7時半から待機していた親子:
息子がAppleが大好きで、夏休みなので、宿題が終わったらということで来ました。
(Appleのどこが好き?) 全部好き。

Apple銀座は2003年11月にオープン。

iPhoneやiPadなど新製品が発売されるたびに、熱狂的なファンが長蛇の列を作り、時代を象徴するビッグウエーブを巻き起こした。

アメリカ以外では初となる直営店で、日本のファンの間では聖地としても知られるApple銀座。

移転先はこれまでの銀座3丁目の店舗から、徒歩8分ほど離れた8丁目となり、建築家・隈研吾さんが手掛けた国内初の耐火木造12階建ての商業施設内。

開発業者によると、この建物で使用した木材と同じ量の木を植えることで、森林サイクルを促進するとしている。

環境問題にも配慮した新店舗でApple銀座は、少なくとも2024年まで営業する予定だ。

SDGsの取り組みを伝える必要性

三田友梨佳キャスター:
マーケティングや消費者行動を研究されている一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。
木造ビルへのアップルストアの移転をどうご覧になりますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
アップルストアはアップルにとってブランドのメッセージを具現化する場所であり、サステイナビリティな姿勢を伝える大切な役割を担っています。

木造ビルは地球への優しさが感じられ、店内はエネルギー効率を向上させる方法で運営されています。そして、iPhoneやアップルウォッチなどは低炭素設計で作られていることを知ることも出来ます。

三田キャスター:
アップルストアはアップルファンにとって単なる直営店を超えた場所になっているようですね。

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
そうした熱烈なファンに愛されて、アップルは世界のブランドランキングで9年連続で1位を獲得しています。

魅力的な製品はもちろん、SDGsに対する積極的な取り組みとそのコミュニケーションもアップルの圧倒的なブランドの構築に貢献しています。

三田キャスター:
アップルにあって、他の企業にないものというのはあるのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
アップルがそうであるように、企業はSDGsに対するスタンスや方針、何より具体的な取り組みをきちんと消費者に伝えなければなりません。
ただ、多くの日本企業の場合、せっかくサステイナブルな取り組みを行っていてもホームページなどを通じて紹介するに留まっている例が多くあります。

これは情報発信であってもコミュニケーションではありません。
消費者に伝わっていないということは何もやっていないと見なされてしまうからです。

三田キャスター:
アップルによる「アップルらしさ」は消費者にはどのようにして伝わっているのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
例えば、アップルは環境・政策さらには社会的イニシアティブ担当のバイスプレジデントがいます。今回、銀座のアップルストアを一時移転する際、地球への優しさを示すことが出来る木造ビルを選択しました。

こうした経営上の判断をする際に、サステイナブルであるかどうかを検討する姿勢が 「アップルらしさ」となり、それが消費者の心をとらえています。

企業が行うSDGsな取り組みに終わりはありません。今後の日本企業の巻き返しに期待したいです。

三田キャスター:
今回の移転については少なくとも2024年までということですが、あえて木造のビルにという選択肢には環境や社会への貢献度、企業価値を左右する時代背景があるようです。

(「Live News α」8月30日放送分)