8月10日、安倍元首相銃撃事件以降2度目の会見を開いた世界平和統一家庭連合=旧統一教会。岸田首相による内閣改造の当日に行ったこの会見で、教団側は政治との関わりをどう説明したのか。

政治のつながりについて質問相次ぐ

8月10日午後3時、記者会見を開いた旧統一協会。会見を開くのは、安倍元首相銃撃事件以降2度目。

世界平和統一家庭連合・田中富広会長:
社会の皆さまにも様々にお騒がせしていることに深くおわび申し上げます。

この記事の画像(11枚)

銃撃事件から1カ月余りが経つ中で行われた旧統一教会の記者会見は、世間を騒がせたことへの謝罪から始まった。
質疑応答に移ると、事件後、次々と明らかになった旧統一教会と政治のつながりについて質問が集中。
田中会長は、政治とのつながりについてこう説明した。

世界平和統一家庭連合・田中富広会長:
政治に友好団体が強く姿勢を持って関わってきたことは事実です。それは政治工作のために関わってきたとか、あるいは脱税や霊感商法の批判から逃れるために関わってきたということではありません。

教団の友好団体による政治との強い関わりを認めた上で、霊感商法などの批判逃れが目的ではないと強調。教団の名称変更問題についても、政治的介入や不正はないと主張した。
そして、自民党議員との関わりが多いとされる理由についてはこう述べた。

世界平和統一家庭連合・田中富広会長:
私たちの基本姿勢は、共産主義と対峙して進めております。したがってその視点からいうと、自民党の議員の方々がより多く接点を持つことがあるんではないかと思うが、それは政治工作という意味合いではなくて、むしろこの国をどういう国にしたいのか、より良き国造りに向かって共に志を一つにしていこうという姿勢の中からの交わりです。これからも私たちあるいは友好団体は、この視点は一致していくことになるかと思います。

政権発足初日から“関連団体イベント出席”

旧統一協会と政治家とかかわりが厳しく問われる中で発足した第2次岸田改造内閣。今回の改造では、旧統一教会との関係を認めていた7人の閣僚はすべて交代。
岸田首相は、この問題をかなり意識した上で人事を行ったとみられる。

ところが、発足初日から早くもほころびが見え始めていた。

総務相として初入閣した寺田 稔議員(64)。旧統一教会の関連団体の会合に、参加費2万円を支払っていたことを明らかにした。

寺田 稔総務相:
一度だけですね。広島県人会に結局行けなかったんですけど、会費だけは確かにお支払いをしたと思います。

一人だけではない。続投となった山際大志郎経済再生相(53)。先週の会見では、教団との関係を問われ「答えは差し控える」と回答していた。ところが、2018年に旧統一協会の関連団体のイベントに出席したことなどを認めた。

さらに、コロナ対応を担い、3度目の厚労相就任となった加藤勝信前官房長官(66)。旧統一教会関連の会合に、かつて秘書が会費を持っていったことを明らかにした。

いずれの大臣も、“今後は社会的に問題となる団体との関係を持たないようにしたい”としている。

岸田首相は、党所属議員らに対し“教団との関係見直し”を求めている。この点について旧統一教会の会見では、海外の記者から質問が飛んだ。

世界平和統一家庭連合・田中富広会長:
政権の判断がどのような深い意図があって判断されているかまでは、私たちが言及する立場ではありませんが、当法人との関わり方が強く判断の基準に定められたというならば、それはすごく残念なことである。

教団内部の指示は否定「地域で異なる」

1954年、韓国で創設され政治家との関係を深めていった旧統一教会。
教団内部の指示があったのかについては、“地方ごとに関わり方が違う”と否定した。

世界平和統一家庭連合・田中富広会長:
全ての議員の先生方は、地方基盤を持っておられるはずです。その地方での私どもが活動している内容が、各地方によって異なりますので、その内容と共鳴する議員の先生方との交わり方があったと思いますので、おそらく交流や関係があったとしても、関わり方が皆さん違うはずです。

霊感商法の被害者救済などに取り組んでいる全国霊感商法対策弁護士連絡会は、旧統一教会の会見を受け、「この過去の悔い改めと正面からの謝罪がないことが、安倍元首相の殺害の重要な原因となった。それが今もこのようなごまかしで続いている」とコメントしている。

旧統一教会との関係を断ち切ることはできるのか、国民が厳しい目を向ける中で、岸田政権は新たな一歩を踏み出す。


(「イット!」8月10日放送より)