8月10日の内閣改造を前に岸田首相は8日、自民党役員人事の一任を取り付けた。最大の焦点は“旧統一協会との関係”。元信者からは「新たな内閣と関係を断ち切って欲しい」という切実な願いも聞こえた。

岸田流「スピード人事」 自民役員人事に岸田首相が一任

8月8日の午後4時半から行われた自民党の臨時役員会。この席で常役員人事を岸田首相に一任することが了承された。10日に行われる「内閣改造」と「自民党役員人事」に向けた調整は大詰めの段階を迎えている。

岸田首相:
できるだけ早く(新)体制をスタートさせなければならない。閣僚について社会的に問題が指摘される団体との関係は十分注意しなければならない。

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9月に行われるという当初の予想を覆す“岸田流「スピード人事」”。その狙いについて、政府関係者は、「旧統一協会問題の流れを断ち切ることだ」と指摘。

岸田首相が8月9日、長崎の平和祈念式典に出席することから、1日繰り上げて8日に行われた閣議。松野官房長官は岸田首相の指示を受け、各大臣に旧統一教会との関係見直しを指示したことを明らかにした。

松野官房長官:
各官僚に対して、当該団体との関係をそれぞれ点検し、厳正に見直しを行うよう私から指示を行いました。

内閣改造で最大の焦点は脱“統一教会”

今回の内閣改造で最大の焦点となるのが、“旧統一教会と関わりのあった閣僚をどう処遇するか”

複数の政府与党関係者によると、これまでに松野官房長官と林外相は留任の方向で調整中。鈴木財務相についても留任させる方向で検討されているという。一方で、岸防衛相は健康面を考慮し、交代の方向で調整が進んでいるという。

自民党3役では、茂木幹事長を留任させる一方、高市政調会長と福田総務会長は交代の方向。高市氏は閣僚で起用することも検討されている。また、小渕元経産相の要職での起用も検討されている。

こうした中、異例の発言をしたのが、安倍元首相の側近で安倍派のキーマン萩生田経産相。「当然継続してやっていくことが望ましいのではないか」と経産相の続投に強い意欲を示し、さらに、岸田首相が麻生副総裁や茂木幹事長を続投させ“政権の骨格を維持する意向”などと伝えられたことについて、こう語った。

萩生田経産相:
一部報道で「骨格は維持する」と出ていて、俺は骨格ではなかったのかという思いもありますので、引く続き信頼いただいている経済産業行政をしっかり前に進めていく。

この発言を受け、岸田首相は官邸を訪れた安倍派の塩谷会長代理に「私が判断する」と伝えたという。

元二世信者「統一教会と関係ある議員入閣してほしくない」

安倍元首相の銃撃事件から8月8日で1カ月。逮捕された山上徹也容疑者は、安倍元首相に対する謝罪や反省の言葉はこれまで口にしていないという。

FNNは今回の内閣改造を前に、山上容疑者と同様に信者の親を持つ40代の元二世信者を取材した。

旧統一教会の元二世信者:
人ごとじゃなかったです。旧統一教会に人生を奪われた一人なので。うちの母親が婦人部の婦人部長という役職だった。山上容疑者も献金しすぎて経済的に困窮して、大学に進学できなかったと言っていましたけど、僕もそうなんです。

多額の献金で「人生を奪われた」と訴える元二世信者。教団は「支援した議員を宣伝材料としていた」と話す。

旧統一教会の元二世信者:
僕からしたら自民党がプロパガンダに使われるんですよ、旧統一教会の。選挙支援を受けた議員・先生方というのは、旧統一教会の権威の象徴になってしまっているので、政教分離というか、内閣からはもう出て行ってもらわないと。

「旧統一教会と関わりを持つ議員には入閣してほしくない」元二世信者の男性は今の気持ちをそう話した。

加藤綾子キャスター:
本当は人事をするにも旧統一教会と全く関係ない人の方がいいんでしょうけれども…なかなか難しいというのであれば、関わったレベル、それから今後の対応で決めるということも1つの案なのかもしれないと思います。ただ、人事だからということに関わらず、きちんと調べて厳しく対応してもらいたいと思います。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
閣僚、大臣になる・ならないに関わらず、問題がある団体との繋がりがあった人については、しっかりもう一度見つめ直して改めないといけない。今回岸田総理はかなり厳しく、その辺は判断するのではないか?あるいは、厳しく判断すべきだと僕は思いますけどね。

(「イット!」8月8日放送分より)