バスケットボール男子日本代表は、7月12日にインドネシア・ジャカルタで開幕した「FIBAアジアカップ2022」に参戦、ベスト8で敗れ大会を終えた。
FIBAランキング38位の日本はグループリーグC組を2勝1敗で通過し、決勝トーナメントへ。初戦のフィリピン(同ランキング34位)には102-81で勝利した。
ベスト8へ進んだ日本の相手はFIBAランク3位のオーストラリア
日本は今年に入りオーストラリアとは、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」のWindow2、3と対戦しており、いずれも64-80、52-98と敗れている。
この記事の画像(8枚)新たな指揮官となったトム・ホーバスヘッドコーチの思い描くスタイルが徐々にチームに浸透し、成長していく様子が見られたこのアジアカップ。
3度目となるオーストラリア相手にどういう戦いをするのか、期待が寄せられた。
3ポイントシュートを46.5%で沈めるも、高かった“世界の壁”
フィリピン戦で右足首を負傷した日本チーム唯一のNBAプレーヤー渡邊雄太選手がこの試合は欠場。
ベンチから声援を送る中、スタートは、#2富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)、#3エヴァンス・ルーク選手(ファイティングイーグルス名古屋)、#17須田侑太郎選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)#19西田優大選手(シーホース三河)、#88張本天傑選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)の5人。
富樫選手の3ポイントシュートから試合に入るが、その後得点が続かない。
オーストラリアはインサイドの強さに加え、3ポイントシュートも高確率で沈めてくる。
日本は河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)と富永選手のコンビネーションがうまく機能し、チームに活気を与える場面も。
リバウンドに苦しむ時間もあったが、この試合も張本選手は果敢にインサイドで奮闘し、リングにアタックし続ける。
吉井裕鷹選手(アルバルク東京)選手もリムアタック、3ポイントシュートと要所で活躍した。
富永選手が難しいシュート決め、前半だけで17得点と躍動し、前半は34-49で折り返す。
第3クォーターも富樫選手のシュートからゲームに入っていく。
西田選手、富永選手と3ポイントシュートを決め、また井上宗一郎選手(サンロッカーズ渋谷)も、ここぞというところでしっかりと沈めた。しかしオーストラリアも追随を許さない。54-75で最終クォーターへ。
第4クォーター、張本選手の豪快なダンクシュートと雄叫びが日本に勢いをもたらす。富樫選手が連続で3ポイントシュートを決めると、それに富永選手や須田選手も続く。68-80と12点差まで一気に縮めたところでオーストラリアがたまらずタイムアウトをとる。
さすがはFIBAランキング3位、タイムアウト明けは3ポイントシュートで得点するオーストラリア。日本も、富永選手、井上選手の3ポイントシュートで9点差まで詰めるが、そこから点差が縮まるには一歩及ばず。85-99で試合終了となった。
超長距離3ポイントや魂のダンクシュート これが新生”AKATSUKI FIVE”
トム・ホーバスヘッドコーチが就任し新たに始動した、男子バスケットボール日本代表。
日本が目指すべきバスケットボールのスタイルが徐々に創られてきた大会だったと言えるだろう。
オーストラリア戦を終えホーバスヘッドコーチは「負けて悔しかったけれど、うちのチームの未来は見えた」と語り、「レベルアップしたのは間違いない」とこの5試合を振り返った。
オーストラリア戦で15本中8本の3ポイントシュートを沈め、33得点の活躍をした富永選手は「いい自信になったし、逆に改善しないといけないことも見つかった」と大会を振り返った。
驚くような位置から3ポイントシュートを沈めて見せて会場を沸かせた富永選手はネブラスカ大学に在籍しており、このあとアメリカに戻る。
彼の存在がこれからの日本代表の大きな力になることは間違いない。
また、この大会インサイドで身体を張り続け、オースラリア戦では豪快なダンクシュートで気持ちをみせた張本天傑選手は「自分もしっかりと更にステップアップしたと実感した」と話した。
日本人としてはこの大会最年長となる30歳で臨み「経験は誰よりもあるのでそれを下の代に伝えていく」と日本代表での経験も豊富なベテランとしても、頼もしい言葉を聞かせてくれた。
アジアカップを終えて見えたもの この先の未来へ
このアジアカップにはNBAに在籍する八村塁選手や、NBAサマーリーグに参加していた馬場雄大選手、昨シーズンのBリーグチャンピオンシップMVPの比江島慎選手(宇都宮ブレックス)などが参加していない。
また、日本代表で長く活躍した田中大貴選手(アルバルク東京)が東京オリンピックをもって代表から引退を表明するなど、日本代表メンバーの入れ替えも多くあった。
そんな中で戦ったこのアジアカップ。若手の台頭とベテラン勢の融合は、これからの日本バスケットボールの未来を明るく照らしてくれるようなものを多く感じさせた。
若手選手の気迫とベテラン選手の経験が確固たるものになれば、自ずと結果はついてくるだろう。
バスケットボール男子日本代表は8月13日と14日に国際強化試合をイランと戦い、その後は「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選 window4」でカザフスタンと対戦する。
このアジアカップからメンバーの入れ替わりもあるが、少しずつ確立されてきた日本のバスケットボールスタイルで、ひとつでも多く白星を飾ってほしい。
この勢いのまま日本はどこまでいけるか、その未来を信じ見守る人は決して少なくはないはずだ。