――「キイロネクイハムシ」とはどのような昆虫?
ネクイハムシ類は、幼虫が水草の根を食べる昆虫で、湿地生態系の指標種です。スゲネクイハムシ、キンイロネクイハムシ、ガガブタネクイハムシなど、23種が日本に生息しています。
それらの中で、「キイロネクイハムシ」は沈水植物の豊富な湿地生態系に生息していたと考えられ、そのような環境が戦後、急速に失われていきました。キイロネクイハムシは1962年の福岡での記録の後、記録が途絶え、環境省のレッドデータブックにおいて絶滅種に選定されていました。
――どのような経緯で発見した?
琵琶湖の水草につくユスリカの調査のために、水草を採集し、ユスリカを羽化させようとしていたところ、キイロネクイハムシが羽化してきました。
――琵琶湖でキイロネクイハムシの生息が確認されたのは60年ぶり?
1962年の記録が最後なので、そういうことになります。
――キイロネクイハムシと思われる虫を琵琶湖で見つけたときの率直な感想は?
キイロネクイハムシは多くの昆虫学者が憧れ、また狙ってもいました。そのような昆虫がまさか現れるとは。

――多くの昆虫学者が憧れ、また狙ってもいた。これはなぜ?
新種記載以来、わずか10個体未満の個体しか採集されていない、ごく稀な昆虫として著名であったからです。
「奇跡的に生き残っていた」
――絶滅したはずのキイロネクイハムシが琵琶湖で発見された。理由としてはどのようなことが考えられる?
キイロネクイハムシは、平野部の湿地の沈水植物に依存した生活をしていましたが、沈水植物の豊富な湿地は日本列島から急速に失われてきました。
そのような中にあって、琵琶湖は、いまだに沈水植物群落が健全な沿岸域を持っています。そのような沈水植物群落の一画に奇跡的に生き残っていたのだと思います。