全国的に厳しい暑さが続いている2022年の夏。
そんな全国的な"暑さ"とは無縁の街がある。北海道東部の釧路市だ。
近年は避暑地として全国的な注目を集める「釧路の夏」の魅力を探った。
大分県からの観光客:
思ったより暑い。風が九州と変わらない
ギラギラと照りつける太陽。2022年は札幌でも厳しい暑さが続いている。
真夏でも長袖必須 "日本のロンドン"釧路
一方、同じ北海道でも札幌から東に300キロほど離れた釧路市では、まったく状況が違っていた。

田中 うた乃 記者:
釧路市の現在の気温は21.7度。長袖でも十分涼しい気温です

真夏にも関わらず記者が着ていたのは、半袖ではなく「長袖」。
「日本のロンドン」ともいわれる「霧の町・釧路」では、この時期は連日のように厚い霧に覆われ、なかなか太陽が拝めないほど。
釧路市の7月の平均最高気温は、札幌より6.6℃も低い22.1℃。時には"涼しい"を通り越して"寒さ"さえ感じる気温に、釧路市民からはこんな思いすら聞こえてくる。
釧路市民:
夏は寒いですね、ジメジメはイヤだ
釧路市民:
半袖を着たいと思っている。夏らしいことをもっとしたい
そんな寒~い釧路市で今、その「寒さ」を全国に売り込もうとする動きが。

釧路市 総合政策部 笹森 俊哉さん:
寒さは本州の人にとっては、とても涼しいと感じてもらえるところもある。日本有数の"避暑地"としてPRしていきたい
売りは"寒さ"と"大自然" 「避暑地」としてアピール
年間50万人が訪れる人気の観光スポット「釧路湿原」。
涼しさの中で、手つかずの広大な自然や野生の動物を堪能することができる。
田中 うた乃 記者:
釧路湿原の国立公園内です。緑に囲まれていて、木や花の香りに癒されます。湖が見えてきました。広いです。緑や空が映し出されていて、とても神秘的です
釧路川ではカヌーを楽しむ人の姿も。避暑地にぴったりの涼しい水辺で、大自然を間近で楽しめる癒やしのアクティビティも魅力の一つだ。
カヌーに乗った埼玉県からの観光客:
(埼玉県は)溶けるように暑かったのが、自然のクーラーのようで最高です
航空会社も、暑さから逃れたい本州や北海道の他都市からの需要が高いと踏んでいる。
日本航空 釧路支店 鍔原 貴子さん:
猛暑日が続いている日本ですが、釧路に来れば「汗も引くほどの涼しさ」だとPRしていきたい
すでに2022年の釧路発着便の予約率は、コロナ前の7割から9割まで回復見込みで、この夏が"商機"だと期待している。
追い風が吹く状況に、釧路市の長期滞在を担当する職員は…
釧路市 総合政策部 笹森 俊哉さん:
釧路は寒い、なにもないというイメージが持たれていたことがあったが、ほぼ都会的な生活ができると長期滞在の方にも人気
気候の特性を逆手にとり「涼しい釧路で避暑生活」をキャッチフレーズに、釧路市をPRしている。
その結果、関西の旅行会社では大型ツアーが組まれ、大ヒット商品となるなど、"長期滞在者"が増加し、2020年度で1644人と、10年連続で北海道1位となった。
夏だけ"釧路移住"…エアコンも扇風機も使わず「幸せだと思う」
神奈川県在住の山嵜さん夫婦は、毎年夏の間だけ釧路市に滞在している。
釧路市内でマンションを借り、趣味の釣りやアイヌ文様の刺しゅう教室に通うなど釧路ライフを満喫している。
釧路市に長期滞在 山嵜 規子さん:
涼しくて、食べ物が美味しくて、人情が温かくて、エアコンも扇風機も使わず、本当にありがたい、幸せだと思っています
釧路市に長期滞在 山嵜 信夫さん:
地域住民が違和感なく受け入れてくれるという感覚。だから非常に心地よかったですね
夏は涼しく、人は温かい。最近の酷暑に嫌気がしている方、ぜひ1度、釧路市に涼みに来てみては。
(北海道文化放送)