2020年の7月豪雨で4人が亡くなった、大分・由布市湯布院町の湯平温泉で7月7日、追悼式が行われた。災害から2年。この間、悲劇を繰り返さないようにと地域では様々な取り組みが進められてきた。今の被災地を訪ねた。
旅館を営む一家4人が犠牲に
各地に甚大な被害をもたらした2020年の7月豪雨。
由布市湯布院町では花合野川に車が流され、乗っていた4人が犠牲となった。4人は湯平温泉で旅館を営む一家だった。

豪雨から2年。
7月7日は観光協会が主催する追悼式が行われた。

参列した約20人は川に菊の花を投げ入れ、改めて4人の冥福を祈った。
湯平地区の区長、麻生悦博さんは「令和2年の7月豪雨から、あっという間に2年が過ぎて、早めの復旧が(犠牲となった渡辺家の)1番の供養になるのかなと思う」と話す。
悲劇を繰り返さないために
風情ある温泉街を襲った大雨。
あの日の状況を、麻生さんは次のように振り返る。

湯平地区の区長 麻生悦博さん:
石畳通りも30センチくらいか、泥水とがれきが流れてきて本当に恐かった
災害で4人の仲間を失った湯平温泉。二度と繰り返してはならないと、地区では豪雨以降、防災・減災の取り組みを進めてきた。
大分大学の教授などを招き、定期的に研修会を実施。

この中では当時の被災状況を地図に落とし込み、危険な箇所や注意点などを地区の住民で共有した。
また、自主防災組織を立ち上げ、情報伝達や救護など、万が一の場合の役割を決めることで災害への備えを強めようとしている。
湯平地区の区長 麻生悦博さん:
区民の皆さんが防災・減災などを勉強しながら、こういうことが起きた時にはこうするんだとか、そういう研修にも出てもらって、歴史ある湯平温泉街を守っていけるのではと思う
悲しみ乗り越え…歩みを進める
豪雨で大きな悲しみが広がった湯平温泉。
それでも2年が経ち、新たな取り組みを始めようとしている。
亡くなった一家が営んでいた旅館「つるや隠宅」。

ここを観光協会が買い取り、湯平温泉の観光拠点とする計画だ。
湯平地区の区長 麻生悦博さん:
私たちが元気でこの湯平を守っていくことが、渡辺家の供養になるのではないかなと思っているので、湯平区民一致団結して前を向いて、元気にやっていければと思う
7月豪雨から2年が経ち、鎮魂の祈りに包まれた湯平温泉。
防災と観光振興への思いを新たに、今後も歩みを進めていく。
被災地の復興は進んでいるが、それ以外の地域でも記憶を風化させず、日頃から備えをしておくことが大切だ。
(テレビ大分)