【独自取材】閃光と発砲音…山上容疑者“試し撃ちの瞬間”か　事件前日の防犯カメラ映像を入手

安倍元首相が銃撃された事件前日に、山上容疑者が試し撃ちをした瞬間とみられる映像を入手しました。さらに、事件現場では、発砲した場所から約90メートル離れた立体駐車場で新たに3カ所、弾痕が確認されたことがわかりました。銃の威力はどれほどのものだったのでしょうか。

事件現場の90メートル先で3つの弾痕や金属片

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事件が起きた現場では7月13日、警察が範囲を広げ現場検証を行った結果、現場から約90メートル離れた立体駐車場で新たに弾痕のようなものが見つかりました。警察によると、高さ4メートルから8メートルの壁面に、合わせて3カ所、中から弾丸のような金属片が出てきました。

手製の銃について、銃器ジャーナリストの津田哲也氏は「粗悪な銃でも実物の銃と変わらないくらいの威力を発揮するわけです。（本物の銃と）同様の威力を持った火薬を装填して、同様の重さの弾を込めた場合、ほとんど変わらないほどの威力で100メートル近くのところでも殺傷力を持ったまま、ほぼ直進で弾が飛びますね」と話しています。

警察は、山上容疑者の自宅から手製の銃、数丁を押収。他にも弾を作るためのものとみられる金属の球なども見つかっています。

流れ弾被害の可能性も

改めて現場周辺を見てみました。

安倍元総理が銃撃された場所から、立体駐車場の方に歩いて行くと、かなり人通りがあるように思えます。

流れ弾が通行人に当たらなかった理由について、銃器ジャーナリストの津田哲也氏は位置関係を挙げました。

津田氏は「周囲には人がいらっしゃいましたけど、当たらずに済んでいますよね。その理由なんですが、演台の上に安倍さんは乗ってらっしゃった。普通の観衆の方よりちょっと高めにいらっしゃったと思います。ですから、下の方を狙って水平撃ちに近いような状態だったら流れ弾の被害があったかもしれない。周囲の方がけがをした可能性もあります」と指摘。銃は殺傷能力が高く、一歩間違えれば多くの犠牲が出ていた可能性も考えられるといいます。

「ガス管が破裂したような音」試し撃ちの瞬間か

銃の威力は、どれほどのものだったのでしょうか。

山上容疑者は「宗教団体の施設で手製の銃の試し撃ちをした。大きな音がした、その場からすぐに立ち去った」と事件前日の“試し撃ち”について供述しています。

めざまし8は、試し撃ちの瞬間とみられる映像を入手しました。

未明の住宅街。これは、奈良市内にある宗教団体の関連施設周辺に設置された防犯カメラ映像です。突然、画面左上が明るくなります。車のヘッドライトでしょうか。

しばらくすると、激しい光を放ちます。同じ時間帯、住宅街に設置されていた別のカメラには、発砲音のようなものが記録されていました。

この約5分後、防犯カメラには、慌てて家を飛び出してくる住民の姿がありました。この住民を取材すると、「とにかく普通の音じゃなかった。そこに何十年って住んでいるが、そんな音聞いたことがないぐらいすごい音だった」とそのときの様子について明かしました。不審な音に驚き、周囲を見回ったといいます。

また、「外からものすごい音が鳴った。ガス管が破裂したようなバーンっていう暴発したみたいな不思議な音がした。普通の火薬の爆竹とかそういう銃っぽいようなパーンパーンっていう音ではなくて、本当にボーンっていうすごい音がしたんで、その音圧でちょっと惑うじゃないですけど、ちょっとこうなんか響くような、そんな感じ」と証言しました。

専門家「銃口から出た炎の光である可能性高い」

実際、発砲が行われたのと同じ時間帯現場周辺は、どのような状況なのでしょうか。

14日の未明、改めて“試し撃ち”の現場周辺を訪れると、かなり閑散としていて、大きな音が鳴ればかなり響きそうな静けさでした。人通りはおろか、車もほとんど走っておらず、ここでヘッドライトをつけたまま車を止めれば目立つ可能性もあります。

改めて防犯カメラの映像を見ると、真っ暗な住宅街が突然、車のヘッドライトらしきもので明るくなり、その後、突然激しい光があがります。この瞬間に銃が発射されたとみられます。そして約10秒後、1台の車が防犯カメラの前を横切ります。山上容疑者が運転している車でしょうか。車が消えると、周囲は再び真っ暗になりました。この映像が撮影された翌日、安倍元首相は凶弾に倒れました。