静岡・三島市では、商工会議所の呼びかけで、企業で使われなくなったものを再利用する取り組みが始まった。企業と企業を「リユース」でつなぐ県内初の取り組みだ。

SDGsの旗振り役として

三島市の三島商工会議所。ホームページには専門的な機械などの写真が並んでいる。業種の変更などによって企業で使われなくなったものだ。

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三島商工会議所・石渡智英さん:
年末など大掃除をするときに捨てなければならないものがありますが、そういうものも、もしかしたら事業所によっては再利用ができるものがあるのではと思いました。そこで、事業所同士でモノをマッチングする仕組みを作りました

三島商工会議所は2021年6月に加盟する企業と共に、SDGs=持続可能な開発目標に取り組む宣言をした。17個の目標が掲げられているが、企業からはどう取り組めばいいのか戸惑いの声が聞かれたと言う。

三島商工会議所・石渡智英さん:
何かハードルが高いというような意見をもらった。事業所にとっても何から始めたらいいか、なかなかつかめない、一歩前に進めないという現状で、商工会議所としてわかりやすい取り組みということで考えました

企業同士をマッチング

そこでスタートしたのが「三島リユースプロジェクト」。企業で使われなくなったものと、それを必要とする企業をマッチングする。 掲載費用は無料で、不用品は無償で譲渡される。これまでに20件の出品があり、そのうち6件に引き取り手が見つかった。

三島市のアーステック。電子回路の開発のほか、LEDや蓄電機能を持つ装置などを製造・販売している。

 アーステック・中嶋克己社長:
 電子回路の設計、ソフトウェアの設計、それにメカ関係の設計もやっています。主に回路とソフトウェアが正常に動いてるか、オシロスコープと電圧計を使わせてもらっています

リユースプロジェクトを活用して譲り受けたのは、電気信号の変化を測る「オシロスコープ」と電圧計。業種の変更によって熱海市の企業で使われなくなったものだ。

アーステック・中嶋克己社長:
十分使えます。もともと1台はありますが、1台だけだと、どうしても足りない時もあります。ちょうどよかったと思って、使わせてもらっています。購入すると結構高いものなので、そういう部分ではずいぶん助かりました

再利用の輪 課題は周知

三島市の風水力機械メーカー、電業社機械製作所。ここでは、正面玄関のリニューアルに伴って使われなくなったフラワースタンドと会議用の大型テーブルを出品している。 これまで、こうした不用品は廃棄処分していた。

電業社機械製作所・泉淳担当課長:
直接だと、面と向かっての話になるので、商工会議所に間に入っていただけると出品もしやすい、手も上げやすいということもあります

課題は、取り組みを広く知ってもらうこと。商工会議所は、加盟する企業に積極的な活用を呼びかけている。

三島商工会議所・石渡智英さん:
事業所の移転や、年末の大掃除・模様替えなど、そういう時にこの事業があるんだと認識してもらえれば、もっと出品が増え、うまく回る感じになるかと思います

三島市で始まった、リユースプロジェクト。企業と企業の間にも、再利用の輪が広がり始めている。

(テレビ静岡)

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