自然豊かな奥会津に位置する福島・昭和村。
過去5年間では、村に引っ越してきた人が、村から出ていく人より多い「転入超過」を達成していて、特に若い世代の移住者が定着しつつある。
国内有数のカスミソウ産地 栽培支えるのは新規就農者
4月に福島市から夫婦で移住した菊池伸二さん。
菊池伸二さん:
前の職場が転勤とか多くて、勤務時間も不規則な職場でしたので、この先のこととかを考えた時に、妻と一緒にできる仕事が何かないかなと探してる時に、農業もいいなと思って。いろいろ調べてるときに、カスミソウというものを知りました
カスミソウの栽培に適した、夏でも涼しいそよ風が吹く昭和村は、年間約350万本を出荷。販売額は約4億円で、日本一の産地。
その栽培を支えているのは、菊池さんを始めとした新規の就農者。
2003年からは独立などを応援する制度を設けていて、これまでに25組が参入。その定着率は8割に達していて、新天地で異業種にチャレンジする移住者をサポートしている。
菊池伸二さん:
すごく村や役場の皆さんのサポートも手厚くて、農家さんの教えていただく内容も、ただ作物を作ったり出荷することだけじゃなくて、農家としての経営なども教えていただいてるので、当初の不安はなくなってきている
会津地方で唯一「転入超過」達成 “空き家バンク”など手厚い支援
昭和村の人口は約1,200人。
ピーク時の1955年から4分の1まで減少し、さらに20年後には現在の半分程度まで減ると推計されている。
人口減少のペースを緩やかにするために、村が力を入れるのが移住の促進。
昭和村・舟木幸一村長:
新たに何かを作ったのではなく、この地域にあった資源や長く継続してきた産業を、さらに振興する立場で頑張っている。(移住者が)各集落の空き家になった住宅にお住まいになって、その集落の一員としてしっかりと活動していただく姿をみますと、非常に頼もしく感じますし、集落の方も非常に喜んで受け入れをしていると思います
その集落の空き家と移住者の“橋渡し役”を担っているのが、昭和村の観光交流係で働く山内翔吾さん。
村は移住に欠かせない「住居」をスムーズに提供するために、2012年度から「空き家バンク」を開始。
登録された村内の空き家60件のうち、実際に移住者などが住んでいるのは48件と使用率は8割に達している。
さらに空き家をリフォームする際には、最大250万円の支援を受け取ることもできる。
昭和村 観光交流係・山内翔吾さん:
空き家バンクを通して入居する方の7割くらいは、空き家改修の補助を受けています。非常にニーズがある制度なのかなと思っております
このような手厚い支援により、過去5年では村に引っ越してきた人が村から出ていく人より多い「転入超過」を会津地方で唯一達成。
特に、30代以下の若い世代の移住者が定着しつつある。
地域の魅力を移住者とともに磨く “地方創生”の新しい形
5月に仙台市から移住した佐々木尭さんと妻の由惟さん。
農業経験はないが、昭和村でのカスミソウ栽培に引かれ、第二の人生を歩んでいくことを決めた。
当初は住居の確保に不安を感じていたが、「空き家バンク」などの支援に背中を押された。
佐々木尭さん:
家の話して開始5分くらいで、ここ紹介してくれて、そのまま決まったので。一番不安だった家問題が、一番早く解決しました
村内にはコンビニが1軒もないなど不便な面もあるが、ネット通販を活用しながら、いま夢に向かって村での生活を楽しんでいる。
佐々木尭さん:
いま研修を受けさせてもらっているので、独立は確実にしたいなと思っているんですけど。カスミソウ農家一本で食べられるようになりたいなというのはあります
地域が持つ魅力ある産業を、移住者と一緒に磨き育てていくことは“地方創生”の1つのカタチかもしれない。
(福島テレビ)