2022年3月の地震で、福島県内では2万8,000棟余りの建物が被害を受けた。福島・相馬市松川浦の旅館は一時すべてが休業し、今も元の姿には戻っていない。
そこで立ち上がったのが、旅館の経営者たち。地域の味・浜焼きで、再びかつての賑わいを取り戻そうとしている。

「浜焼き」で地域復興

6月5日、山形・米沢市の「道の駅」に行列が出来ていた。並んだ人が見つめていたのは、福島県・相馬の港に揚がったカレイやイカ、ホタテなどの魚介類に甘じょっぱいタレをつけて炭火で焼き上げる、相馬松川浦の名物「浜焼き」

この記事の画像(12枚)

旅館いさみや・管野功さん:
今まで食べたことがない、松川浦の浜焼きをここで召し上がってもらって、「こんな美味しい浜焼き、また食べに行きたいな」って思ってもらって、松川浦に足を運んでもらえたら、もう最高だと思ってます

福島・相馬市松川浦で旅館を経営する管野功さんたち「松川浦ガイドの会」が、浜焼きを通じて相馬市や松川浦のことを知ってもらおうと、初めて県外で販売した。

旅館いさみや・管野功さん:
地震で営業できなくなっちゃって

買い物客:
再建できんの?

旅館いさみや・管野功さん:
今やろうと思って、頑張ってますけどね

2022年3月16日、福島・相馬市は震度6強の揺れに襲われた。

2022年3月16日、相馬市は震度6強の揺れに襲われた
2022年3月16日、相馬市は震度6強の揺れに襲われた

松川浦周辺のすべての旅館は被害を受けて休業。3カ月近く経っても、完全な形で営業を再開できた旅館は一つもない。「旅館いさみや」を経営する管野功さんは、その被害の大きさに一時廃業も考えた。

旅館いさみや・管野功さん:
だんだん日が経つにつれ、もう一回いろいろチャレンジしてみようかなとか、そういう気持ちになって、今は前向きに進んでいます

震災乗り越え「笑顔が溢れる場所に」

同じ悩みを抱える同業者の背中を押そうと行ったのが、2021年に復活させた「浜焼き」。ゴールデンウィークの10日間で約1万5,000本を販売。「浜焼き」が、8,000人もの人を呼び込んだ。

「道の駅米沢」でも浜焼きは好評で、焼きあがるそばから売れていった。

買い物客(女性):
普通のスーパーでは味わえない味が楽しめるかなっていうのが。(浜焼きを食べて)私は尚、(松川浦に)行きたいと思ってます

浜焼きを食べて「(松川浦に)行きたい」と話す買い物客
浜焼きを食べて「(松川浦に)行きたい」と話す買い物客

買い物客(男性):
うまい!いや~美味しいな、これ!これを食べたら、また行きたくなりますね、相馬にね

 
 

開催するたびに多くの人で賑わう「浜焼き」。「松川浦と言えば浜焼き」となるよう、今後は定期的に開催することも考えている。

旅館いさみや・管野功さん:
松川浦にお客さんがどんどん来てもらうことによって、各旅館のやる気とか「お客さん来るんだからがんばろうかな」っていう意識にもつながっていくと思うので、うちらがちょっとがんばって地域を盛り上げたいなと

松川浦が、多くの観光客で賑わい笑顔が溢れる場所になるように。松川浦の魅力を伝えながら、地震の被害を乗り越えようとしている。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。