第7波は始まっているのだろうか。東京都の新規感染者が、3カ月ぶりに8000人を超えるなど感染が急拡大している。そんな中、政府は、7月前半にも実施するとしていた「全国旅行支援」について、判断の時期を先送りにする見通しだ。

早いスピードで陽性者が広がっている

第7波は目の前まで迫っているのだろうか。7月6日朝、東京都・小池知事は強い警戒感を示した。

東京都・小池百合子知事:
「陽性になる方がかなり早いスピードで広がってきている。そして、多くの方は20代30代、まずワクチン接種をお願いしたい」

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東京都では、7月6日新たに8341人の感染を確認。6月29日から2倍以上増えた。1日の感染者が8000人を超えるのは4月14日以来。都内の感染者が、前の週の同じ曜日を上回るのは19日連続となる。

感染者数の急増について、東京歯科大学の寺島毅教授は、「ある程度増えると思っていたが、来週5000人くらいと思っていた。きのう、きょうの増え方は予想以上だ」と話している。

7月6日時点で、東京都の重症者用病床使用率は4.3%にとどまっている。感染者の増加について街で話を聞くと、「きょうは(保育園の)クラスで陽性の子が出て自粛というか休みになった」という。

7月6日は、鳥取県でも過去最多となる215人の感染を確認。感染者数は全国的に増加傾向に転じており、全国の感染者は4万人を超えた。これは、5月18日以来のことだ。

ワクチンの効果が落ちてきた可能性

訪問診療を行うファストドクターでは、7月に入り、検査での陽性率が急激に上がっているという。東京都内に住む夫婦と息子(20代)の3人家族。全員が3回のワクチン接種を終えていたが、家庭内感染で3人とも陽性となった。

感染拡大について、ファストドクターの上柳圭一医師はこう話す。

ーー患者の陽性率は?

ファストドクター・上柳圭一医師:
「6月下旬に20%台後半に微増。7月に入って40%近くまで一気に増えてきた。自治体からの依頼も、前週比で1.7倍と増加している」

感染増加の要因として挙げられているのは、「ワクチンの効果が落ちてきた可能性」。さらに、「感染力がより強いとされるBA.5への置き換わりが進んでいる可能性」などが指摘されている。

ファストドクター・上柳圭一医師:
「『BA.5』は、まだまだわかっていないところが多いんですけれども、第6波の頃と比べて39度台の高熱などが1割ほど増えている。(第6波の)『BA.2』で得られた免疫をすり抜けて、『BA.2』にかかっても、また『BA.5』にかかる可能性も十分にある」

過去の感染やワクチン接種で獲得した免疫をすり抜ける力が強いとされる「BA.5」。ワクチンの予防効果が弱まるとの研究結果も出ている。

夏休み目前での感染拡大に困惑

島根県・丸山知事:
「今回の感染拡大を第7波」

7月5日、感染者数が過去最多の755人となった島根県。7月7日から、飲食店の利用制限を県内全域に拡大することを決めた。

夏休みシーズンが目前に迫る中、県内の飲食店には困惑が広がっている。

「巨人のシチューハウス」アラン・フィッシャーさん:
「先週の週末から今まで(の間で)予約70%くらいキャンセルされました。80万〜100万の売り上げがなくなりました」

200万円の売り上げが消えたと嘆くのは、アイルランド人のアランさん。2021年3月、ラム肉を軟らかく煮込んだシチューなどアイルランドの家庭料理が味わえる店を松江市内に開いた。

今回の感染増加により、島根県内の飲食店には「4人以下2時間以内」での利用が呼びかけられることになった。

これまでに団体客の予約が約7割キャンセル。このままでは、広い店舗を維持することができず、店をたたんでネット通販のみの営業に切り替えることも検討しているという。

「巨人のシチューハウス」アラン・フィッシャーさん:
この店が広い、オンラインストアの売り上げだけにすれば、この家賃(を払い続けるの)は難しい。まだ決めてないですが、今はすごく悲しい

第7波による感染爆発が強く警戒される中で迎える夏休みシーズン。夏休みをどう過ごすのか街で話を聞くと、「なかなか子ども連れて遠出できなかったので、今回は遠出しようかなと。また感染者が増えているので心配です」「また移動が増えて感染者が増えるというのはちょっと怖い」と話していた。

政府は、感染状況の改善を条件に、7月前半から全国旅行支援を実施するとしてきた。
しかし、その開始時期について、7月6日木原官房副長官はこう述べた。

木原官房副長官:
足元の状況を踏まえて、引き続き総合的に見極めた上で7月前半中に適切に判断していきたい

政府関係者の話からは、感染拡大により判断が先送りされた形となったことがうかがえる。

政府関係者:
当初は7月初めに詳細を公表し、参院選後に開始することを視野に検討されていたが、感染状況を鑑み立ち消えとなった

また、別の政府関係者からはこんな話も聞かれた。

政府関係者:
今すぐ全国旅行支援をやって感染拡大の懸念を増やすこともない。開始を延期するなら夏か秋のどちらかになるだろう

判断の時期は、7月10日の参議院選挙後となる見通しだ。

重症化しないためにもワクチン接種を

加藤綾子キャスター:
いま感染者が増えてきている中での判断は難しいのかなと思いますが、これから夏休みが始まりますし、感染状況を軽く考えてはいけないと思うけれど、ようやく経済が回り始めるかなと明るい兆しが見えてきた中なので、今後どう判断するのか気になります

住田裕子弁護士:
いま急拡大の時ですけど、いずれピークがきて下がりますから、今までの流れから見極めていただく。政府の全国旅行支援を先送りにした判断については、正しい、当然だと思います。
しかし、壊滅的になった観光業・飲食業のためには、きっちり実施していただきたい。立ち消えではなく、再開して日本の経済を回して欲しいと思います

加藤綾子キャスター:
そのためには、やはりワクチン接種をもっと進めた方がいいかもしれないですね

住田裕子弁護士:
免疫だけではなく、重症化予防にもなりますからね

(「イット!」7月6日放送より)