長野県辰野町の“シャッター街”に、新たな風が吹いている。その仕掛け人は中高生の有志だ。商店街を拠点に、地域の魅力発信やにぎわいづくりに取り組んでいる。6月には「駄菓子屋」に挑戦し、本人たちも驚くほどのにぎわいを見せた。

中高生が発案し、企画書も…祭りの日に“駄菓子屋”開店

長野県辰野町・6月18日
長野県辰野町・6月18日
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中学3年生・丸山寧来さん:
鈴くじ、こっちでやっているので、やりたい人いたら来てください

古びた商店街に響く、中学生の店員の声。辰野町の中高生が中心となって運営した、一日限定の駄菓子屋だ 。

辰野駅から延びる、ここ、下辰野商店街は、郊外に商業施設が集積していわば「シャッター街」となった。しかし社団法人「○と編集社」の、空き店舗と出店希望者をつなぐ活動などが実を結び、ここ数年、新規の出店が続いている。
元集落支援員で、「○と編集社」代表の赤羽さんは、商店街をこう呼んでいる。

○と編集社・赤羽孝太 代表:
新しいお店が点々とできてくる状態を「あ、それ、そのままでいいじゃん」っていう形で、「トビチ商店街」っていうふうに名づけた

5月、トビチ商店街にある3階建てのビル。2階に上がると、中高生たちが集まっていた。

ここは2021年11月、赤羽さんの社団法人が「商店街に中高生を」と設置した、町の学生スペース「トコと」だ。いわば「放課後の居場所」だが、集まって何をするかは中高生に委ねられている。

高校2年生・加藤優奈さん:
学校帰りとか、休みの日に集まってお話ししたりとか、イベントのための企画会議をしたりしています

仲間を増やす交流イベントやワークショップを開いたり、商店街の魅力を発信する広報紙を配ったり…。大人の後押しを受けながら、商店街でやりたいことに挑む拠点となっている。

○と編集社・山下実紗さん:
中高生というのは、辰野町においても未来を考える上で重要な立ち位置にいるなと思っていて、彼女たちのような主体的に動ける子たちが商店街に関わってもらえたらうれしいなと思って声をかけた

この日は、中高生の中心メンバーと赤羽さんたちが、新たな活動の打ち合わせをした。中学3年生の大蔵真佑季さんが提案したのは…

中学3年生・大蔵真佑季さん:
駄菓子屋を出店したい理由が、主に4つあって、辰野町には駄菓子屋がなかったので園児や児童に、私が経験できなかった日常を体験してもらいたい

地域の祭りの日に合わせて駄菓子屋を開いたら面白いのでは、というアイデアだ。

最初は、「駄菓子屋になりたい」という夢をポロっと言っただけだった、と振り返る大蔵さん。話は進み、社団法人から資金援助を受けるため、企画書を作成してプレゼンすることになった。

○と編集社・赤羽孝太 代表:
じゃあ分かりました。私のへそくりから(笑)

中高生:
ありがとうございます。よろしくお願いします

○と編集社・赤羽孝太 代表:
いろいろ役割を振ったりとか、お願いしたりする…「マネジメント」って言うけど、皆で役割分担してとか、どんどん指示を出せばいいと思う

中学3年生・大蔵真佑季さん:
初めてのことで、企画書とかチラシとか、一から分からないままやってきたんですけど、頑張っていきたいと思います

トラブルや対応に追われるも…商店街に人通りが!自分たちも「びっくり」

そうして迎えた、6月18日。開店を前に、「店員」となってくれる仲間も集まり準備が始まった。駄菓子は卸売店から4万円分・50種類近くをインターネットで購入。売り場は、商店街に2カ所設けた。

慣れない作業に時間がかかる中、思わぬアクシデントも…

中学3年生・丸山寧来さん:
なに、待って、漏れてる!

水ヨーヨーを入れる容器から水漏れが…
水ヨーヨーを入れる容器から水漏れが…

「水ヨーヨー」を入れる容器から、水漏れが見つかったのだ。修復に苦戦する間にも、オープンの時間がどんどん迫ってくる。

中学3年生・山寺佑季さん:
やばいです。私、メイクしたかったんですよ!間に合いますか、店長?

中学3年生・大蔵真佑季さん:
え、無理!

なんとか準備を終え、結局、10分ほど遅れて開店した。

祭りの日に合わせた出店だったが、にぎわいは想像以上。店員たちは対応に追われた。

慣れないお店の運営で、対応に追われる
慣れないお店の運営で、対応に追われる

中学3年生・大蔵真佑季さん:
1万円、細かくなる?1万円札…(おつりが)ないです

中学3年生・山寺佑季さん:
ごめんなさい!本当にすみません

子どもには目新しく、親や祖父母世代には懐かしい駄菓子。幅広い世代が訪れた。

子ども:
おやつでたべるの

家族3世代で来店:
(駄菓子屋が)私の子どものころはありましたけどね

家族3世代で来店:
よかったです、家族で行けて。お休みの日にすごく楽しく過ごせています

そして、商店街がにぎわうようにと行った、ある仕掛けも功を奏した。

2つの売り場でそれぞれ100円以上買うと、福引きができるようにしたのだ。行き来する客で商店街に人通りが生まれた。

これには赤羽さんも…

○と編集社・赤羽孝太代表:
すごくびっくりしています。われわれだけじゃなくて、次の世代の子たちが中心となってやってくれているというのはすごくうれしい

駄菓子は4時間ほどで売り切れた。自分たちで企画・運営をこなし、にぎわいもつくれたことは、大きな自信になったようだ。

中学3年生・大蔵真佑季さん:
思いのほか、みんないっぱい買ってくれるしすごく来てくれるしで、いい意味で予想外だったなって思います。学生の私たちでも、辰野町の商店街にいっぱい人が来るような大きなことを達成できたというのが、すごくうれしいです

トビチ商店街に新しい風を吹かせる中高生は、自らやりたいことを見つけ、行動し、街を盛り上げる一翼を担っていた。
夏休みも駄菓子屋を開く予定で、次は、1週間の営業にチャレンジするということだ。

(長野放送)