肉に見えるけど肉じゃない。大豆や野菜など、植物由来のものを使って肉に似せた食品は「プラントベースフード」と呼ばれる。世界的な環境意識と健康志向の高まりで、注目されている食品だ。
プラントベースフードを開発・販売し、SDGsに貢献する福井県鯖江市の企業を取材した。

牛肉1kgが育つまで…水20tに穀物11kg かかる環境負荷

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マイセンファインフード・担当者:
いま作っているプラントベースフードの、ミンチタイプ。異物等の確認を目視で検査しているところ

鯖江市にある「マイセンファインフード」は、玄米を原料としたパンや菓子を中心に事業を展開。併せて、植物由来の疑似肉「プラントベースフード」などの開発・製造も手掛けている。

プラントベースフードとは、植物由来の原料を基に、肉に似せて作った食品の総称。大豆由来のものは「大豆ミート」、野菜由来ものは「ベジミート」などと呼ばれる。

マイセンファインフード・村井龍昭 社長:
私たちのミッションは、安全で安心できる食べ物を通じて、世界の人々に健康と豊かさを提供すること。世の中の流れとしても、新しい流れ(SDGs)が起きつつあった時期と重なったところが大きかった

このプラントベースフード、地球環境に優しい食べ物として近年、注目されている。

環境省によると、牛肉1kgの生産に対し、餌として必要なトウモロコシなどの穀物が約11kg、さらにその穀物を育てるために約20トンもの水が必要となる。
また家畜の中でも、特に牛のゲップに含まれるメタンは二酸化炭素の約25倍の温室効果があるといわれ、環境負荷が懸念されている。

一方、代替肉=プラントベースフードの場合、大豆1kgの生産に必要な水の量は約2.5トンと、牛の8分の1。豚や鶏と比べても半分ほどの水で生産可能で、肉が作られる過程で発生する環境負荷を軽減できることが期待されている。

マイセンファインフード・村井龍昭 社長:
世界的に見ると人口もどんどん増えているので、家畜もそれに対して増やしていけるかというとなかなか難しい状況。代替できるようなものは必ず必要になってくる

欠点だった“独特の香り”もクリア…食感も香りも肉に近づけることに成功

マイセンファインフードでは、大豆由来のプラントベースフードを開発。元々強みの事業だった玄米のほか、緑茶抽出物=カテキンなどの成分を配合することで、プラントベースフードの欠点とされていた大豆由来の独特の香りを軽減。食感も肉に近づけることに成功した。

今野真帆アナウンサー:
ベジミンチで作ったパティです。お肉だ…なんだこれ。鼻に抜ける香りも食感もほぼ肉に近い

栄養価を見ると、プラントベースフードはコレステロール0、カロリーも半分以下に抑えられ、脂質もほぼなく、健康志向の人々にも好まれている。

マイセンファインフード・村井龍昭 社長:
商品そのものがSDGsにマッチしたラインナップ。事業を延ばすことがSDGsに貢献できると考えている

世界の人々に健康と豊かさを提供したい。マイセンファインフードは、畜産に依存しすぎない新たな食文化を発信し続けたいとしている。

(福井テレビ)

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