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メダルには届かなかった北京五輪から4カ月。フィギュアスケート羽生結弦の今の思いとは…3年ぶりに開催されたアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」で北京五輪以来の演技を披露する羽生に話を伺った。

3年ぶりファンタジー・オン・アイス

ーー「ファンタジー・オン・アイス」3年ぶりですけど、どんな思いを込めて演技をされていますか?

「表現したい事とかこだわり抜いている事とか、そういったものが『言葉』みたいな形で伝わらなくてもいいので、演技の中の『こういうシーンあったな』とか、『ここ好きだったな』って思ってもらえるような演技を作りたいなって常に思っています。今まで120%だったのが、さらに150%ぐらいの力を振り絞りながらやらせて頂いています」

「幸せになれた」北京五輪から得たモノ

2月に行われた北京五輪。3連覇への覚悟を4回転アクセルに宿した羽生だったが、惜しくも転倒となり4位。それでも、史上初の4回転アクセル認定となった。あれから4カ月の月日が流れ「今、思うこと」とは…

「皆さんの見る目が変わって良かったと正直思います。ソチ五輪と平昌五輪との2連覇をしていて、なんかすごく完璧な人間みたいなイメージが強くあった。平昌五輪のSEIMEIのイメージが強いのであれば、北京五輪の羽生結弦は全然違う人物だったという気がしています」

「羽生結弦でもこういうことあるんだとか、夢に向かって努力してきた痕跡が見える中で、結局、夢かなえられなかった。そういう泥臭さみたいなものを感じたからこそ、応援してくれる人もいるんですよね。それが僕は嬉しかったと思っています。その点において僕は北京五輪に出て良かったと思いますし、幸せになれたなって思っています

4Aの今「絶対に人前で降りたい」

北京で痛めた右足の状態はまだ万全ではない中、羽生は「ファンタジー・オン・アイス」の幕張公演と名古屋公演で“譲れぬ夢への思い”を演技に込めた。

「4回転半というジャンプに向けて、“絶対に夢を手に入れる”んだという、自分の決意表明じゃないですけど…」

「もう一度、夢をつかみにいく」。そんな決意を込め、羽生は幕張公演と名古屋公演でアクセルジャンプだけを組み込んだ演技を披露した。

「気持ちが揺れ動いているように見えているんですけど、芯の中には4回転アクセルに向けての強い信念があって、“その軸は絶対にぶれない”みたいなものを表現しようと思っています。北京五輪後の記者会見の時に『僕の4回転半はこれで満足です』と言っていたんですけど、ダンスを独学で学んだりとかいろんな事をして視点が変わっていく中で、『まだ4回転半、色々工夫できるな』とちょっと思っているんですよね」

「やっぱり北京五輪で注射打ちながらだったからこそ、火事場のばか力みたいなものが、恐怖感のないアクセルを跳べたという状況の中で学べた事がかなりあるんですね。その学べた事をもっと使っていきたいなと思いますし、やっぱり4回転半に向けては日々挑戦していきたいという気持ちは強くあります。“絶対に降りたい”と思っていますね。皆さんが見ている前で降りたいという気持ちが強くあります」

「僕はアスリート」究極のスケート像

夢に向かって、再び前を向く羽生に対し、こんな質問をぶつけた。

ーー羽生選手が追い求める究極のスケートとは?

「芸術性は大事だと思うんですよ。やっぱり僕は音楽に乗せて滑る事がとても好きですし、僕は僕にしかできないステップだったり、スピンだったりを追い求めていきますし、ジャンプという点に関してももっともっと練習して、今の羽生結弦が一番上手いなって、技術的にも今が一番上手いなっと思ってもらえるように、常に努力し続けたいと思います。僕はアスリートなので。やっぱりフィギュアスケートは芸術性も大事かもしれないですけど、間違いなくスポーツではあるので、そのスポーツである緊張感とかもアイスショーでも羽生結弦のフィギュアスケートから常に感じてもらいたいと思います」

フィギュアスケートとは…

ーーここまで色々お話されてきて改めて質問したいなと思ったのが、羽生選手にとってフィギュアスケートとはというのを問われたら何て答えますか?

「なんか軽々しく人生って言いたくないっていう捻くれた自分がいて、軽々しく生活の一部とかって言うのも言いたくない自分がいて、正直難しいんですけど。ただ地震が起きた際とか、北京オリンピック終わって仙台に帰って、3月に大きな地震とかがあったりしたんですけど、その時に一番最初に守るべきだなって思ったのはやっぱりスケート靴ですね。自分が危ないって思ったとしてもやっぱりスケート靴!っていう感じですぐ取りに行きたくなったりとか、守んなきゃって思ったりとか、なんか靴が安全だった時に涙が出そうになるとか、やっぱりそういう存在ではあるのかなって思いますね」

新境地のプログラム披露

アスリートとしての覚悟を胸に挑んだ「ファンタジー・オン・アイス」神戸公演で、羽生は今回の為に新たなプログラムを用意。シンガー・ソングライター宮川大聖の「レゾン」のリズムに合わせて氷上を舞った。さらに体全体を使ったこれまでとは一味違う新境地の振り付けを取り入れるなど、全身全霊の滑りで詰めかけたファンを魅了したフィギュアスケーター羽生結弦。彼の挑戦はこれからも続く。

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6月25日(土)24時35分から
6月26日(日)23時15分から
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