子どもたちに人気のあの昆虫が、家具工場で本格的に飼育されている。業界では廃棄物とされる「おがくず」の再利用に加え、地域貢献にもつながる取り組みとは。

家具職人がカブトムシを飼育 「本業以上にハマってる」

佐賀市諸富町(もどろみちょう)にある家具メーカー「レグナテック」。樺島雄大社長に、珍しい取り組みが行われている場所へ案内してもらった。

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レグナテック・樺島雄大社長:
こちらにカブトムシの飼育場がある。毎日お世話をしてくれている飼育係もいます

工場の裏にいたのは、なんとカブトムシの幼虫。家具メーカーであるレグナテックで、カブトムシを飼育しているというのだ。

レグナテック・カブトムシの飼育長 野口浩平さん:
色がやっぱり黄色くなってきよるね。さなぎ化している。もうそっとしておかないと

カブトムシの世話をしているのは、飼育長の野口浩平さんと副飼育長の西山浩三さん。彼らは始業前の朝7時すぎから、この場所に集まる。

Q.今は何をしている?
レグナテック・野口浩平さん:

今(幼虫を)見て、病気になっているかを確認している。体の表面に黒い点が出ている個体があったら、病気になっている。取り除いてあげないと他の虫にも感染してしまうので

2人はもちろん、カブトムシの専門家ではなく家具職人。

レグナテック・野口浩平さん:
毎日気になって、朝出勤したらすぐ幼虫の様子を見にきたりとか。愛おしくなる。本業は家具作りだが、それ以上にハマっている

工場裏にたくさんの幼虫…「カブトムシくらぶ」結成

始まりは、2年前だったという。

2020年、工場裏のおがくず置き場にたくさんの幼虫が…(レグナテック提供)

野口さんは、数多くのカブトムシの幼虫が、土の上にばら撒かれたように広がっている写真を見せてくれた。

レグナテック・野口浩平さん:
おととし、こんな感じで、工場の外のおがくず置き場にたくさんカブトムシの幼虫がいた
レグナテック・樺島雄大 社長:
せっかくだったら、我々が大事に育てていこうと思って

もともとカブトムシが好きな樺島社長が、社内の有志を集めて結成したのが「カブトムシくらぶ」だ。
小動物やカラスといった外敵から幼虫を守るため、2022年は専用の小屋を作り飼育環境を整えた。現在、1200匹あまりを飼育しているという。

おがくずは木材を加工していく段階で出る木のくずで、家具業界にとっては必要のないもの。レグナテックでは、一部を地元の牧場などに無償で提供しているが、1~2週間で2トントラック1台分のおがくずが出てしまうという。

レグナテック・樺島雄大 社長:
おがくずまでも大事にしたいという思いで、廃棄物という感覚ではなく、立派なカブトムシを育てるための土壌になる

工場から出るのは、カブトムシが好むクヌギの木に近い、ナラの木やクルミの木のおがくず。幼虫がおがくずを食べてフンをするため、早くて2日から3日でおがくずを入れ替えなければいけない。

さらにカブトムシは9月ごろから孵化するため、年間を通して世話が必要になる。

成虫は保育園に譲り譲渡会も “街全体で子どもたちを笑顔に”

2021年は成虫になったカブトムシを保育園などに譲ったほか、譲渡会を開き、多くの子どもたちを笑顔にしたという。

レグナテック・樺島雄大 社長:
ことしはかなり幼虫がいるので、目標は1000匹成虫にしたい。そうすることで1000人の子どもたちを笑顔にできたり、喜ばせることができたりするかな

また、小屋が完成したタイミングで、カブトムシが大好きなクヌギの木を植えたという。クヌギの周辺に敷かれたおがくずの中にも、たくさんの幼虫がいる。

レグナテック・樺島雄大 社長:
いつでもカブトムシたちがやって来られる環境作りはしていきたい。やがてこのクヌギが大きくなれば、自然にカブトムシがたくさん(来て)育ってくれることを夢見ながら頑張っていく

さらに、樺島社長にはこんな思いも…

レグナテック・樺島雄大 社長:
諸富は家具の産地でもあるので、私たちの工場だけでなく、他の工場からもカブトムシの飼育をやってくれる工場が増えたら。この町自体がカブトムシの森のような家具産地にできることで、たくさんの子どもたちや人々が訪れてくれることを楽しみにしている

レグナテックのカブトムシは、これから7月上旬にかけて成虫になり、2022年も子どもたちに笑顔を届ける。

2021年にカブトムシをもらった保育園では、そのカブトムシが卵を産んでふ化し、成虫になった。園児たちは、生き物の命の大切さや尊さも学ぶことができたという。

(サガテレビ)

記事 407 サガテレビ

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