愛媛・今治市菊間町の秋の伝統行事、勇壮な「お供馬の走り込み」。
この馬たちも年をとると、いずれは坂を駆け上がることが難しくなり、引退する日が。
そんな馬たちが、人と触れあいながら余生を過ごすことができる牧場を作ろうと、地元の住民たちが動き出した。

伝統の「お供馬の走り込み」…子どもたちが見事な手綱さばきで

今治市菊間町で、600年の伝統を持つ愛媛県の無形民俗文化財「お供馬の走り込み」。
地元の子どもたちが見事な手綱さばきで馬を操り、加茂神社の参道を一気に駆け上がる秋の祭礼行事。

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新型コロナウイルスの感染対策で中止が続いていたが、2022年10月には、待ちに待った3年ぶりの開催が予定されている。
本番で勇壮な走りを見せる馬たちの普段の様子は…

(Q.おでこが好き?)
菊間町愛馬会・岡本誠篤副会長:

(馬では)届かんけんね。自分ではなかなか届かんとこはね

とっても気持ちよさそうな顔…
とっても気持ちよさそうな顔…

菊間町では現在、地元の有志でつくる「愛馬会」の会員が4~22歳まで12頭の世話をしている。

毎年、数千頭の競走馬が故障や成績不振で引退

お供馬に使われていた馬は、もともと農家が飼う農耕馬だった。
しかし、農耕馬がいなくなった今、お供馬として活躍しているのは…

菊間町愛馬会・岡本誠篤副会長:
こっちの馬は北海道産まれで「チルアウト」。メスです。この馬も3歳くらいまで(中央競馬で)走っていたんですけど、この馬の場合は競走中に腰の骨を骨折ということで引退しました

今いるお供馬はみんな、元は競走馬。
現在8歳の「チルアウト」も5年前まで中央競馬の競走馬だった。

岡本さんによると、毎年 数千頭の競走馬が故障や成績不振で引退するということで、そのごく一部が地域行事や乗馬クラブなどに引き取られ、「第2のキャリア」を過ごしている。

しかし、馬たちも年をとり、いずれはお供馬として走ることもできなくなる。

菊間町愛馬会・岡本誠篤副会長:
セカンドキャリアでお供馬で全速で走ってくれた馬も、サードキャリア的にだんだん歳をとると、胴も垂れてきて体形も変わってきますので、そういった馬は優しい馬に変わっていきます。そういう馬は、セラピーであったりとかで活躍してもらったら

そんな馬たちに「第3の舞台」を作ろうと、岡本さんは2年前にNPO法人「菊馬会」を発足した。

クラファンで資金募る…すでに110万円余りの賛同が

馬に乗ったり世話をしたりすることで、癒やしの効果が期待される“ホースセラピー”。そのための牧場を開設しようと、現在クラウドファンディングで資金を募っている。

セラピー牧場を開こうと考えているのが市営広場。

菊馬会・岡本誠篤代表:
今回クラウドファンディングで、移動式牧柵ということなんですけど、小ヶ丸広場の中に簡易なパドックを作るであったり、丸馬場を直径16メートルのものにして、馬を回し運動しながら、子どもたちやみんなが安心安全に乗れる。そして馬を放牧して、草を食べられるような場所にしたいですね

クラウドファンディングの目標は200万円。
返礼品は、ホースセラピーの体験や地元菊間の農産物などを用意していて、10日現在で110万円余りの賛同が寄せられている。

菊馬会・岡本誠篤代表:
みんなでお供馬を守っていくし、馬も育てるという意識を持ってもらいたいですし、誰もが触れ合える拠点づくりの第一歩として移動式牧柵を作って、みんなに安心安全な乗馬体験であったり、セラピーであったり、できるようなことをやっていきたいと思っています

子どもからお年寄りまで幅広い世代が馬と触れあい、馬ものんびりと過ごせる…そんな場所を目指している。

(テレビ愛媛)

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