福岡県北九州市で起きたストーカー殺人事件をめぐる判決公判で5月26日、福岡地裁小倉支部は、中間市の無職、篠田勝治被告(53)に懲役17年の実刑判決を言い渡した。

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判決によると、篠田被告は2021年11月、警察からストーカー規制法に基づく禁止命令を受けていたにもかかわらず、元交際相手の内田理恵さん(当時49)が住む北九州市小倉北区のアパートに押しかけ、持っていた刃物で内田さんの胸や背中など13カ所を刺して殺害した。

なぜ事件は起きたのか。小倉拘置支所に収容されている篠田被告に初公判前に接見し、犯行の経緯を直接聞いた。

刃物で元交際相手の胸や背中など13カ所を刺して殺害
刃物で元交際相手の胸や背中など13カ所を刺して殺害

記者:
内田さんとの関係は、何年くらいですか?

篠田被告:
1カ月か2カ月

記者:
出会いは?

篠田被告:
言えない

記者:
1カ月くらいで、そこまで愛がヒートアップしますか?

篠田被告:
内田さんも「そのうち一緒に住みたいね」と言っていたので。一緒にいて当たり前と言ってた。そのくらいの関係でした

復縁を迫り、禁止命令が出されるも待ち伏せ

内田さんから別れを切り出された篠田被告。納得できない篠田被告は、その後も内田さんに執拗に復縁を迫るなどのストーカー行為を繰り返した。

耐えかねた内田さんは2021年10月、警察に相談。警察は口頭で篠田被告に指導したほか、事件の11日前にはストーカー規制法に基づく禁止命令を出していた。

記者:
なぜストーカー規制の対象になったんですか?

篠田被告:
LINEでひどいこと言ったりしたから

記者:
何回も送りました?

篠田被告:
そう、何回も復縁迫ったり、文句言ったり。そうですね。警察からストーカーと言われた。仕事も手につかなくなり、自暴自棄になった。内田さんとほかの男性とのLINEを見た。そこにも付き合っているというような内容はなかったですけど

篠田被告は、内田さんから別れを切り出された理由などを聞き出そうと、車で現場のアパートに向かい、内田さんを待ち伏せた。

篠田被告:
警察に注意されても、ほかの男性との関係を聞きたい気持ちがあった。ほかの男性との関係を知りたかった。このままじゃいけないと思って、行けば捕まるかもしれないけど、ほかの男との関係を知りたいと思った

声を掛けてナイフ取り出し…後半の記憶は曖昧

待ち伏せた際、篠田被告はナイフを持参していた。

記者:
なぜナイフが?

篠田被告:
普通に話してくれると思わなかった。見せれば話すかもと…

「普通に話してくれると思わなかった」とナイフ持参の理由を語る
「普通に話してくれると思わなかった」とナイフ持参の理由を語る

記者:
内田さんが帰って来たとき、なんて声をかけました?

篠田被告:
ほかの男性の話をしようかと。とっさにナイフを出してた

記者:
どんなやりとりがあった?

篠田被告:
「刺すなら刺せば」とか「もう無理、帰る」とか言ってた

当時の詳しい経緯を記者が尋ねると、篠田被告は言葉を選んでいるのか、時折考え込むように首をかしげていた。

記者:
十数回、内田さんを刺しています

篠田被告:
最初は覚えているけど、あとは記憶がない。真っ白になった

記者:
何度も刺しているから、血だらけだったのでは?

篠田被告:
被害者がジャンパーを着てたので、それが飛び散るのを防いだというか。私は血を見ていないし、かかってもいない

「憎んでいたわけではない」後悔の念も

内田さんを刺したあと、篠田被告は車で逃走。警察は若松区内で車に乗っていたところを発見し、殺人の疑いで緊急逮捕した。

記者:
なんで逃げたんですか?

篠田被告:
あてもなく、ただ走っていた。死にたい気持ちと、内田さんがどうなったか気になった

犯行の経緯や動機について、記者の質問に淡々と答えた篠田被告。最後に殺害した内田さんへの心情をこう述べた。

篠田被告:
内田さんを憎んでいたわけではない

記者:
憎んでいないのに、この結果になっています…

篠田被告:
当日も、何も話してくれないことにカッとなった

記者:
被害者はあなたにとってどんな存在でしたか?

篠田被告:
今までで一番心を許せる人だった。話してて、自分のことを理解してくれてた。性格に惹かれた

記者:
自分の手で、惹かれた人の命を奪ったことをどう思う?

篠田被告:
後悔しかない

記者:
あなたは嫉妬深い人間ですか?

篠田被告:
はい。嫉妬深い人間とは思ってる。あとは普通と思っているけど

意識を失った後に8カ所刺す ”強固な殺意”と認定

5月19日、初公判で篠田被告は大筋で起訴内容を認めたが「殺意はなかった」と述べ、弁護側は罪状について、殺人ではなく傷害致死が相当と訴えていた。

対する検察側は、「殺意は明白。典型的なストーカー殺人で身勝手極まりなく、再犯の可能性も高い」と主張した。

判決公判で、福岡地裁小倉支部の井野憲司裁判長は「13カ所の刺し傷のうち、8カ所は被害者が意識を失くしたあとに刺されたもの。強固な殺意があった」として、被告の殺意を認定。

「犯行は執拗かつ残忍。一方的に接触しておいて、意のままにならない被害者に激高したという殺人の動機の身勝手さは揺るがない」と断罪し、篠田被告に対して懲役17年の判決を言い渡した。

(テレビ西日本)