「頭にかぶる“ウィッグ”にしか見えない」と、ある動物の姿がTwitterに投稿され、話題となっている。
それが北海道帯広市にある「おびひろ動物園」の公式Twitterアカウント(@obizoo_official)が投稿した写真。まずはその動物の姿を見てほしい。

飼育員さんが両手で持ち上げているのは、サラサラでつやつやな“黒髪の束”。一見するとキレイな毛艶のウィッグにしか見えず、このままかぶることができそうだ。
Twitterでも「ウィッグにしか見えない!!」「誰かのカツラかと思いました…」「どう見てもツヤツヤサラサラのヅラ」と多くの人が驚いていた。
もちろん、このウィッグに見間違えそうな姿をしているのは動物。正体はブラッシング後のモルモットなのだという。

シェルティというストレートの長い被毛が特徴の長毛種で、毛質はやわらかくサラサラで艶があるという。園で飼育するモルモット34匹(メス32匹、オス2匹)のうち、シェルティは11匹。さらに黒一色の毛色となると、その中でも2匹だけなのだそう。
放置すると毛玉が出来たり汚れてしまう
Twitterのコメントにはシェルティのキレイな毛艶をうらやましがる声も寄せられている。では、園ではどのようなブラッシングをしているのだろうか? また、見た目通りの触り心地なのだろうか?
おびひろ動物園・ウサギモルモット飼育担当の石山絵理花さんに話を聞いてみた。
ーー“ウィッグのよう”と話題となった黒いシェルティについて教えて。
名前は「くろまめ」でオスの1歳5カ月です。おびひろ動物園産まれ。怖がりですがマイペースでやさしい性格です。兄弟の「きんとき」と2匹同居で暮らしています。ちなみに、もう1匹の黒一色の毛色のシェルティは母親の「おはぎ」になります。

ーーブラッシングの方法は?
ブラッシングはモルモットをひざの上に乗せて行っています。後頭部や背中の長い毛はコームやスリッカーでとかし、おしり周りや汚れやすい内側の毛はハサミで短めにカットしています。頻度は時期にもよりますが、現在は2週間に1回、1回10~20分程度です。
ーー“サラつや”にするコツなどはある?
元々サラサラで艶のある被毛なので通常のブラッシングをしているだけですが、放置すると毛玉が出来たり汚れてしまうので、汚れやすい部分はカットして、背中の長い毛はシェルティの特徴的な部分なので汚れない程度に残しています。

ーー実際の触り心地はどう?
写真の通り、サラサラの気持ちの良い触り心地です。
ーーちなみに、短い毛のモルモットもサラサラなの?
短い毛の個体のイングリッシュ(短毛)はサラサラやツルツルなタイプがあり、アビシニアン(巻き毛)は少しごわごわな手触りです。種類によってそれぞれ特徴があります。

「実際に見てもウィッグみたいだな」
ーーブラッシング中の様子はどう?
ブラッシング中は少し嫌がります。なので出来るだけストレスをかけないよう短時間で行い、痛くならないよう接しています。後はやさしく話しかけます。

ーーサラつやな仕上がりのモルモットを見てどう思っている?
実際に見ても人間の毛質のようでとてもキレイで、サラサラなので本当に羨ましいです!
特にシェルティのオスはキレイだと思います。遺伝や個体差もあると思いますが、おびひろ動物園で産まれた個体に関しては、子供の頃からメスよりオスのほうが毛艶が良く長い傾向がありとてもキレイです。
ーー普段はどう過ごしているの?
普段はお客様とのふれあいの時間以外は部屋の中で走り回ったり、寝たり、エサを食べて過ごしています。ブラッシングは苦手な子が多いです。
くろまめの1番の楽しみはエサの時間で、エサの準備を始めると何故か寝床のトンネルの上でエサを待っています。他のモルモットたちもエサの時間になると出入り口のドアの前で待っていたり、プイプイ鳴いて走り回って喜んでいます。

ーー投稿には「かつらみたい」「もはやウィッグ」というコメントが多くあるが?
実際に見てもウィッグみたいだなと感じます(笑)。
ーーもしかして、あえてウィッグに見えるように撮影した?
基本的にはどの角度でもウィッグ風に見えるかと思います。来園されたお客様からもよく「ウィッグにしか見えない」「ウィッグが歩いている」といった反応を頂きます。実際に来園して頂き、モルモットのさまざまな種類の違いや被毛の美しさを感じて頂きたいです。

なおモルモットはこども動物園エリアにある「ちびっこふぁーむ」で飼育しており、平日、土日祝共に、一般の入園者向けに時間を区切り、触ったりなでたり出来るふれあいを行っている(※時間変動あり)。
また、土日祝は1日約30分、ふれあいの他にモルモットをひざに乗せて触れる“モルモットのだっこ”も行っている。個体は交代制で選べないが、投稿で話題となった「くろまめくん」も参加しているという。

元々の毛艶が良いこともあるが、定期的なブラッシングをしていることもサラつやな毛を維持している要因の1つのようだ。北海道を訪れた際には、一見ウィッグに見える毛艶を持つモルモットに会いに行ってみるのもいいかもしれない。
ブラッシング後のモルモット(シェルティー)
— おびひろ動物園【公式】 (@obizoo_official) May 17, 2022
別のものに見えそう…#おびひろ動物園#obihirozoo#モルモット#テンジクネズミ pic.twitter.com/nMZq7t7O3z