長崎・佐世保市の動物病院の防犯カメラに、ネコを放置して立ち去る人の姿が映っていた。
空前のペットブームと言われる中、佐世保市で捨てネコや殺処分の現状を取材した。

動物病院前にネコ置いて立ち去る人の姿が…

4月28日の午前0時過ぎ。1台のタクシーが病院の前に止まり、男性と見られる人物が出てきた。
手元にはダンボールと牛乳、そしてダンボールの中には4匹の子ネコがいる。

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この人物は牛乳を与えたあと、ダンボールをそのまま病院の前に置いて立ち去った。病院からの通報で警察も出動する事態となった。
これは、佐世保市神島町にある浜口動物病院の防犯カメラの映像だ。

子ネコは病院が引き取ったが、3匹が死に、現在は1匹だけとなった。

浜口動物病院・濵口聡院長:
育てる気もなく、誰かに丸投げする人は拾わないでほしい。動物病院に持っていけば助けてくれる、「自分はいいことをした」ということではなく、顔と顔を突き合わせて対応してほしい

これまでも、ビニール袋に入ったネコが病院の花壇に捨てられる様子が防犯カメラに残っていた。

浜口動物病院・濵口聡院長:
(警察では)拾得物扱い。もう少し動いてほしい。防犯映像で、連れてきた人も分かるので

ネコと里親つなぐ保護ネコカフェ

佐世保市では2020年度の1年間、保健所に435匹のネコが持ち込まれた。このうち、引き取り後に死んだネコも含め、約300匹が殺処分されている。

浜口動物病院・濵口聡院長:
動物愛護団体など地域ネコ活動で、避妊・去勢をして減らそうとしている一方で、エサをばらまくような人もいる

この動物病院の2階では保護ネコカフェも経営していて、現在 17匹のスタッフネコと里親を探すネコたちが暮らしている。取材前日に保健所から引き取ったばかりの子ネコもいた。

2016年のオープン以降、約200匹のネコと里親をつなげてきた。

浜口動物病院・濵口聡院長:
ネコが苦手な人、触ったことがない人にネコの魅力を知ってもらいたい。保護ネコもいるんだと。こういうところがあるから増やしても大丈夫、捨てても大丈夫ということではなく、自分の飼いネコに責任を持って、自分にできる経済的、環境的なことを考えてほしい

この保護ネコカフェでは、保健所からだけネコを引き取っているが、個人的な持ち込みは受け付けていない。

動物愛護管理法では、飼っている動物を遺棄した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められている。
また、6月1日には販売前の犬やネコにマイクロチップを埋め込むことが義務化され、飼育放棄の防止につながることが期待されている。
法改正を機に、改めてペットに対する向き合い方を真剣に考えることが求められている。

(テレビ長崎)

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