新型コロナウイルス対策として今、議論されているのが「屋外のマスクの着用」について。
松野官房長官は、5月12日に「人との距離が十分取れれば、屋外でのマスク着用は必ずしも必要ではない。特に気温・湿度が高く、人との距離を2メートル以上確保できている場合は、マスクを外すことを推奨している」と説明している。
「完全に外していいですよ」ということではなく、限定的な緩和ということになる。この屋外でのマスク着用について、街の人たち、教育現場、感染症の専門家にそれぞれ話を聞いた。

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屋外マスク「外す」「外さない」?

男性:
何年か前は、新型コロナのことがよく分かっていなかったので、『みんな、マスクを着けましょう』となっていたと思うが、例えばこの通りみたいに人が多い所では着けたほうがいいかもしれないけど、公園とか周りに人がいないところなら外してもいいんじゃないかなと

小さい子どもを持つ男性:
子供を持つ身としては、マスクを着けてほしいと個人的には思います。子供は「マスクして」と言ってもまだ言うことを聞ける年ではない。周りがマスクしていただければ、子供がマスクをしなくても…

小学生:
人がいない所だと密もないので、ちょっとは(マスクを)外していいかなって

男性:
仙台みたいに人混みのところだと外しにくいというのもあるが、歩いていて息苦しさもあるので、できれば外していいと変わってほしい

女性:
まだ早いと思う。まだマスクは外せない、なんか不安

“マスク慣れ”…教育現場で模索

一方、教育現場では…

上杉山通小学校 佐々木啓介 先生:
おしゃべりしなければ、走っている最中・運動中はマスクをとっても大丈夫です

こちらの小学校では国や仙台市のマニュアルに従い、激しい運動を伴う体育の授業などでは、人との間隔を取ったうえで、「マスクを外しても良い」と指導している。
しかし、マスクに慣れ過ぎたことで、運動中にマスクを外さない子供も多く、学校は「感染対策」と「熱中症対策」の両立を図るため試行錯誤を続けている。

上杉山通小学校 佐々木啓介 先生:
子供たちはずっとマスクを着けていて慣れ過ぎてしまい、なかなか外さなかったり、そういうところもみられる。私たちも徹底して外せとも言えないし、徹底して着けろとも言えない。マスクを着けることが基本だったので、必ず取りなさいとも言えない。
それぞれが休憩時間が選べたり、運動の量を選べたりするような、なかでも運動量があがりすぎている子には個別に声をかけてあげている。出来たという気持ちと、運動量と安全とバランスを考えながらやっている

屋外のマスク着用…専門家「感染リスクを判断すべき」

感染症対策の専門家は…

東北医科薬科大学 遠藤史郎 病院教授:
「どういう場所で感染リスクが高まるか」「どういう行為をすると感染リスクが高まるか」ということを認識することが大切かなと思います。例えば屋外で密にならない、人もまばらということになれば、そもそも感染リスクが低いので、あえてマスクをして、もっとリスクを下げる必要があるかは、各個人で判断して決めていってもいい

では、私たちはどのような基準で判断すればよいのか。

東北医科薬科大学 遠藤史郎 病院教授:
換気が悪いと感じる空間のときには、やはりマスクを着けた方が、少なくとも着けてない時よりはリスクは下がるので着けた方がいい。食事の場面は、食事しながらおしゃべりして、やっぱり飛沫が結構出てきますので、やっぱりマスクが必要ということになる

最後にマスクとの向き合い方を聞いた。

東北医科薬科大学 遠藤史郎病院 教授:
一律に「やめる・やめない」と言うことより、どうして外しちゃいけないのか、どうして外した方がいいのか。どこに感染リスクがあるのか。「ここにリスクはあるけど、ここはリスクは低い」などということを理解しながら、「マスクを外す・外さない」を判断していくのがいいのでは

具体的に二つのシチュエーションでのマスクの着用について、東北医科薬科大学・遠藤史郎教授に聞いてみた。
一つ目は、仙台駅西口のペデストリアンデッキでのマスク着用。二つ目は、ビアガーデンでのマスク着用。この二つのシチュエーションではどう考える?

東北医科薬科大学・遠藤史郎病院教授は、仙台駅西口のペデストリアンデッキでのマスク着用については、「マスクを外していて、人とすれ違ったくらいでは基本的にはうつらないと考えてよい。すれ違った瞬間に対面の人がくしゃみをして、たまたま風向きが自分向きなら感染リスクはある」ということ。

そして同じ屋外でもビアガーデンでは、「屋内に比べれば感染リスクは低いが、お酒が入ると声が大きくなって飛沫が飛ぶことになるので、可能な範囲でマスクを着けた方が良い」ということだった。

簡単には答えが出ない問題だが、新型コロナとどう向き合っていくのか新たな局面にきている中で、今後も社会全体で考えていく必要がありそうだ。

(仙台放送)

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