愛するイヌやネコが、病気などで体が不自由になったら…。
そんなペットのために愛媛県西条市の企業が始めたのが、車いすのオーダーメイドだ。飼い主とペットを、愛情の技術が元気にする。

4度のヘルニアを経験も「車いす生活」で元気いっぱいに

車いすを付けて元気よく走るのは、ミニチュアダックスフントの「ココ」ちゃん。西条市に住む増田春江さんの家族の一員だ。

この記事の画像(14枚)

実はココちゃんはヘルニアを4度も患っている。そこで、4カ月前から始めたのが「車いす生活」だ。

ココちゃんの飼い主 増田春江さん:
リードを付けないで広いところで走らせてやると、本人もすごくストレスが取れてうれしそうです。わたしはもう元気になれないのかな、この子、亡くなっちゃうのかなくらいまでの心配をしていました

車いすは体にピッタリ、運動もしやすいようだ。この車いすを作ったのは…。

Pet ally BOW 神野利啓さん:
知り合いに「作れないの?」と言われて作るようになって、何となく形になってきたという。まだそういう段階ですけど、比較的いいものが作れてるかなって

「完全オーダーメイド」で体に合うものを 負担軽減の工夫も多数

このペット専用の車いすのブランド名は「Pet ally BOW」。西条市の個人企業が2022年1月に立ち上げた。

社長・神野久美子さんが受注を担い、夫で金属加工と溶接のスペシャリスト・利啓さんが製作している。実は大の動物好きだ。

特別スタッフとして、愛犬のラブラドールレトリバー「ボウ」くんも看板役を務める。

作るのはイヌとネコ向けのものだ。

Pet ally BOW 神野利啓さん:
完全なオーダーメイドで、1匹1匹ちゃんと測定させてもらって、バッチリ体に合うものを

四国で初めてという完全オーダーメイド。ペットの胴回りや太ももなどを測り、体重や性別も考えて設計する。

Pet ally BOW 神野久美子代表:
筋肉の収縮にあわせて、ここが伸び縮みするようにしています

フレームはステンレスとアルミを使い、軽量でしかも丈夫。車輪の部分がスライドする仕組みは、楽に動けて体への負担が軽くなるための工夫だ。

きっかけは愛犬の死 「悩んでいるなら、まず乗せてあげて」

ペットのことを思いやった車いす作り。始めたきっかけは、ある別れだったという。

Pet ally BOW 神野利啓さん:
自分のところの子が、2021年に亡くなっちゃったんですよ

天国に旅立った子とは、愛犬の1匹で、ミニチュアダックスフントの「ピーナッツ」ちゃん。

3歳のころからヘルニアを患いながらも、13年間頑張って生き抜いた。

Pet ally BOW 神野利啓さん:
その時、車いすがあると知ってれば、作って自分の子に乗せていたはずなんですね。どうせなら本気でいいもの作ってやろうと

Pet ally BOW 神野久美子代表:
チラシを配ってみると、数年前に(障がいを持って)亡くなった子がいたとか、実際に車いすを使っていた方もいたので、「あったら、こちらで注文したのに」とのお声もいただいた

思ったより大きいニーズ。神野さんたちが作り出す車いすにはペットへの愛が詰まっている。

Pet ally BOW 神野利啓さん:
“幸せになる車いす”というのが基本にあるので。リハビリの第一歩として、そういう感覚で使ってもらいたいんですよ。悩んでいるなら、なるべく、まず乗せてあげて

オーダーメイドの車いすを使っていた増田さんの愛犬「ココ」ちゃんは、今では車いすなしでも不自由なく動けるようになった。

ココちゃんの飼い主 増田春江さん:
わたしたちの生活も含めまして、一番は元気でいてほしいので、それが取り返せたというのが本当にうれしいの一言です

愛するペットの元気な姿を、愛情の技術がサポートしている。

(テレビ愛媛)

テレビ愛媛
テレビ愛媛

愛媛の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。