「わたしはこれから“二頭流”ですから」

笑顔でこう話すのは、自民党の堀井学衆議院議員だ。94年に行われたリレハンメル五輪のスピードスケートで銅メダルを獲得し、その後政界に転身した。

50歳を機に決断 

その堀井氏だが50歳を迎えて、ある決断をした。

「50歳になり、自分の雰囲気やイメージを変えたかった。スキンヘッドだとどうしても『怖い』って印象を持たれるんです。周りの人の対応も、なんとなくスキンヘッドだと冷たくて、それを変えたいとずっと前から思っていたんです」

トレードマークのスキンヘッド姿の堀井学衆院議員
トレードマークのスキンヘッド姿の堀井学衆院議員
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堀井氏といえば、選手時代からスキンヘッドがトレードマークだが、実は20代前半から薄毛に悩んでいて、今年50歳を迎えたことで「スキンヘッドの怖いイメージ」を払拭するため、かつらをつけることにした。

「誰か分からない」政治家のイメチェンの悩み

しかし、スキンヘッドを長年のトレードマークとしてきた堀井氏にとって、今回の“イメチェン”には葛藤があったという。

政治家にとって、見た目が変わることは、これまでのイメージが崩れ、ポスターなどと実際の本人の姿が一致しなくなることがある。また、急に外見が変化すると、有権者が戸惑って誰なのか分からなくなってしまう恐れもあり、選挙区の有権者から名前や姿を覚えてもらうのが大切な政治家にとってはリスクと言える。

実際に地元の有権者からも、かつらをつけることに否定的な声が届いたという。

イメチェンが評判になれば

「周りからは『見た目は若くなるし、かっこいいよね』と言ってくれる。ただ、確かに一部ですが、『誰か分からない』と言う人もいて、『政治家にとって有利なのか不利なのかと考えるとどうなのか』という人もいました。しかし、変化したということが、評判になっていますから、決して悪いことではないと思っています」

かつらを着用した堀井学衆院議員
かつらを着用した堀井学衆院議員

堀井氏はさらに、「今までと変わり映えしないポスターであれば、見られないこともありますが、このかつらをつけた姿でポスターを貼ると『変わったな』ということで、有権者が見てくれる」と今回の“イメチェン”を肯定的に捉えている。 

同僚議員はどう見た

普段接している同僚議員は、今回の堀井氏の“イメチェン”をどう見ているのだろうか。

堀井氏と話す青山周平議員(19日)
堀井氏と話す青山周平議員(19日)

親交が深い青山周平衆議院議員は、堀井氏は外見だけでなく、内面も変化したと語る。

「性格が明るくなったんです。おしゃれを楽しんでいて、変わりましたよね。堀井さんが“二頭流”をやることによって、みんなが『自分もやってみようかな』という感じで、毎日のネクタイを変えるようにヘアスタイルを変えるということになればいいなと思います。」

薄毛の議員を中心に集い、情報交換を行う議員連盟「日本を明るくする会」の幹部も堀井氏の元を訪れ、その変化に目を丸くする。

堀井氏と話す「日本を明るくする会」宮澤博行議員(19日)
堀井氏と話す「日本を明るくする会」宮澤博行議員(19日)
堀井氏を訪れた「日本を明るくする会」八木哲也議員(19日)
堀井氏を訪れた「日本を明るくする会」八木哲也議員(19日)
堀井氏と話す「日本を明るくする会」根本幸典議員(19日)
堀井氏と話す「日本を明るくする会」根本幸典議員(19日)

また、今回堀井氏のかつらを作ったi-threeの井上代表は「正直最初は国会議員の方と聞いて驚きましたし、さらにかつらを“着替える”ことと同じ感覚で前向きに取り入れようとする様子に二重に驚いた」と話していた。

かつらを作ったi-three井上靖二代表(19日)
かつらを作ったi-three井上靖二代表(19日)

有権者にこれまでの慣れ親しんでもらった姿を変えることは政治家にとってリスクともなる中で、思い切った“イメチェン”をはかった堀井氏は「(かつらを)自由に脱着できる社会は素晴らしいと思っています」と熱弁する。トレードマークのスキンヘッド姿と、かつら着用の姿。2つのスタイルで今後も活動していく方針だ。

杉山 和希
杉山 和希

義理と人情とやせ我慢を大事に取材に励みます
報道局政治部 首相官邸&麻生派担当。1992年岐阜県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、2015年フジテレビ入社。「情報プレゼンターとくダネ!」ディレクターを経て現職

政治部
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日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。