鹿児島県の口永良部島に4月3日、新たな商店がオープンした。運営を担うのは島の中核を担う男性。食品などを扱う島唯一の商店が撤退の危機を迎える中、「島民の笑顔を守りたい」という思いがあった。手探りで迎えたオープンの様子に密着した。

赤字の店舗存続へ お客さんがレジ打ち指導も

世界自然遺産の島・屋久島の西に浮かぶ口永良部島。

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2015年、新岳の爆発的噴火で一時、全島避難を余儀なくされた。

噴火にともなう土石流で寸断されたままの道路など、まだ爪痕が残されているが、現在の噴火警戒レベルは2で島には117人が暮らしている。

この口永良部島では、ある問題が起きていた。島で唯一、生鮮食料品や日用品などを扱う商店を運営するJA種子屋久が、赤字のため2022年3月末で廃止することを決めたのだ。

店舗の存続を求める島民の声が上がる中、貴舩森(きぶね・もり)さんという男性が立ち上がった。商店がある本村地区の区長を務める貴舩さんは、島のリーダー的な存在。

貴舩森さん:
高齢者の方が、今のようなネット社会で商品を購入できない。お店が必要だと私も感じるので、なんとか継続して店を続けていこうと

オープン前日、JAから無償で譲渡された建物には開店祝いの花が届けられ、貴舩さんは妻の恭子さん、それに子どもたちと店の準備を始めた。

オープン前日には祝いの花が届けられた

プレオープンも兼ねていたこの日、少しずつ商品を並べているとお客さんがやって来た。だが、妻の恭子さんはレジ打ちをしたことがない。戸惑う中、レジ打ちの経験者というお客さんによるレッスンが急きょ始まるという一幕もあった。

ひょうたん型の口永良部島が描かれた、オリジナルのエプロンも準備。お店の名前は「くちのえらぶ商店」。

食料品を検品し開店 島民のため夫婦で「頑張る」

そして迎えたオープン当日。

貴舩森さん:
緊張しますね。やれることを精いっぱい、やるしかない

店の前にはカラフルな看板が設置された。以前、島に滞在し、地域づくりなどを学んでいた慶應大学の学生らが開店祝いに作ってくれたという。

午後2時半ごろ、食料品を乗せた船の到着に合わせて港に向かった貴舩さん。学校のPTA会長も務めているため、まずは山海留学生をお出迎え。

貴舩森さん:
楽しく元気に頑張ってください。これからよろしくお願いします

PTA会長も務める貴船さん 山海留学生にあいさつ

大忙しの貴舩さん、車に食料品を積み込み店に戻ると既にお客さんが待っていた。バタバタと検品を済ませた約20分後、いよいよ販売がスタート。

大忙しの検品作業

貴舩森さん:
レジに慣れていないので、気長にすみません。よろしくお願いします

お客さんたちは、新米店長たちのレジさばきを温かく見守る。

「大変助かります」「区長さんがやってくれて、すごくうれしい」と、一様に感謝の言葉を口にしていた。

お客さんの笑顔が見られて、貴舩さん夫婦もほっとした様子。

貴舩恭子さん:
ドキドキしてましたが、無事皆さんに新鮮な野菜をお渡しできて良かったです。これから少しでもみんなが笑顔でいられるように、ここで幸せに暮らしていけるよう、頑張れる範囲で頑張ります

貴舩森さん:
慣れないながらも、お客さんの顔は気にしながら見てました。買いに来てくれる姿を見られることは気持ちがいい。またお客さんのいい顔が見られるかなと、期待して頑張ってやっていきます

年々、島の人口は減る中での経営は決して楽とは言えず、手探りの状況はしばらく続きそうだが、島民の笑顔を守るため、島のリーダーの挑戦は続く。

(鹿児島テレビ)

記事 462 鹿児島テレビ

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